現存する戦争遺跡を見学する受講者

 【宇都宮】清原生涯学習センター主催の講座「宇都宮陸軍飛行場秘話~ネット検索では知れない清原飛行場の本当の歴史~」が11月30日、清原地区で開かれ、受講者約60人が戦争遺跡「宇都宮陸軍飛行場」を散策した。定員を大幅に上回り応募を断るほどの人気で、同センターの金子正明(かねこまさあき)所長は「講座にとどまらず、清原地区の新たな観光資源として散策ツアーを考えてみたい」と期待を寄せている。

 講座は「清原の魅力を発信しよう!」がコンセプトで、3年前から毎年開催。これまで飛山城跡や古墳の散策などを実施し、今回は第2次世界大戦中にあった同飛行場をテーマとした。

 講座1回目は同飛行場の歴史を学び、2回目の同日は飛行場跡地などを散策する館外学習。地元出身の郷土史家大気高大(おおきたかひろ)さん(54)を講師に、15カ所の戦争遺跡をバスで巡った。戦時中に飛行機を爆撃から守る無蓋掩体壕(むがいえんたいごう)や飛行学校本部跡、行幸(ぎょうこう)記念碑・飛行場記念碑などを見学した。

 ほとんどの施設は残骸だったり一部しか残っていないなど、かつての面影が見られないものも多かった。その中で飛行学校材料廟建物は現存。持ち主が倉庫として使用しており、受講者は戦時中の面影を興味深そうに見ていた。

 講座に参加した鐺山(こてやま)町、会社員佐貫宏(さぬきひろし)さん(51)は「建物の基礎のようなものがあって、気になっていました。今回参加して納得しました」。娘の小学3年莉彩(りいさ)さん(9)は「おばあちゃんの家にも(基礎が)あったよ。バスに乗って、いろいろ見て楽しかった」と話した。

 大気さんは「こんなに関心がある人が多いことに驚きました。インターネットが普及し、戦争の遺産に興味ある人も増えている。これからも地元のことを語り継ぎたい」と話した。

 同飛行場がテーマの講座3回目は今月実施。作新学院大の学生が講師補助を務め、1、2回目で収集した清原地区の魅力についての情報を交流サイト(SNS)で発信する。