北条地区に残る那須電気鉄道の土台

 町役場がある那須町寺子丙と温泉街、観光地の同町湯本。この2地点をつなぐはずだった幻の鉄道「那須電気鉄道」のうわさを聞いた。なぜ幻に終わったのか。

 同鉄道は1918(大正7)年、現在のJR黒田原駅から湯本温泉街付近をつなぐ約14・5キロの敷設を想定して建設が始まった。当時の湯本には硫黄鉱山があり、硫黄を黒磯駅まで馬車で運んでいた。運搬の効率化や観光客の増加を図り、町の名士らが会社を設立し工事に取りかかった。