サロンで10月27日に行われた女性向けのセミナー

 日光市内での起業希望者を支援し、地域産業の活性化を目指す「市起業・創業支援サロン」(同市今市)が、昨年10月の開設から1年を迎えた。市は年間30人の新規相談者の獲得を目標に、セミナーや中小企業診断士などとの個別相談会を定期的に開催。10月末までの1年間で目標を上回る42人の新規相談があり、6月にはサロン利用者から初の起業家も誕生した。こうした成果の一方で、認知度不足や新たな課題も見え始めている。

 10月27日、女性向けのセミナーが開かれ、県内外から30~60代の11人が集まった。県内で女性の起業を支援している一般社団法人「スリーアクト」の浅野裕子(あさのひろこ)代表理事が講師を務め、「人生経験を取り入れれば、誰にもまねできないビジネスになる」などとアドバイスした。交流会では参加者同士の会話も弾み、セミナー終了後は参加者同士が互いに起業への思いを語り合った。

 サロンは毎週金曜から月曜の午後1~9時に利用できる。土曜は中小企業診断士の島田忠彦(しまだただひこ)さん(63)、第3日曜は県よろず支援拠点の乾泰夫(いぬいやすお)さん(66)が個別相談に応じる。

 そのほか先輩起業家との座談会、女性やセカンドキャリア向けなど対象を絞ったセミナーも定期的に開催し、9月からは事業承継を希望する経営者の相談にも対応している。

 新規相談者は昨年10月からの半年間で13件、本年度は10月までで29件。ただ、市商工課は「起業家の人脈をつくるには、まだ知名度が足りない」と課題を挙げる。

 「起業支援も起業家同士の人脈づくりも、利用者の増加が第一。引き続きSNSや公式ホームページなどを利用し、首都圏向けにもサロンをPRしたい」と同課。さらなる知名度の向上を図っていく考えだが、ここに来て「物件不足」という新たな課題も浮上しているという。

 起業希望者の多くが観光客向けのビジネスを希望している。だが観光客の多い二社一寺の門前町周辺では物件が確保しづらい。空き店舗があっても、住宅を兼ねているなどの理由で、他人に貸し出すことには抵抗がある家主が多いという。

 市の空き家バンク制度も門前町などは登録件数が少なく、起業にはなかなか結びついていない。そのため同所での起業希望者の多くは、店舗所有者と直接交渉し、物件を確保しているという。市は直接交渉について「間接的な支援しかやりようがない」といい、交渉が円滑に進むよう、サロンを利用した人脈構築を促している。