店内に入り、思わず見上げた。太い梁(はり)の奥に木張りの天井、そして壁際の本棚…。広い木のテーブルに運ばれてきた「薬膳ベジタブルカレー」は黒い皿に載り、深めの金色のスプーンが添えてある。ちょっとした貴族気分だ。
1口目はカレーのみ口に運ぶ。スパイスの香りが鼻腔(びくう)を刺激する。ガツンとした辛さを色とりどりの揚げ野菜やニンジンのピクルスで和らげながら食べ進めると、顔に汗がにじみ、体が温かくなってきた。
店長の佐貫美香(さぬきみか)さん(48)の説明で納得した。カレーはパキスタンのスパイス、血流を促す漢方薬の煮汁、さらに低温で煮た野菜や大豆を絶妙に合わせているという。ご飯は国産雑穀米。「体に優しい」を心がけ、動物性の材料を使っていないのに量感も十分だ。
セットで付くコーヒーはスパイスの香りを邪魔しない“太い”味わい。ミニサラダ、デザートを含め添加物は極力使っていない。
古い農家の納屋をモダンに改装した店は居心地よく、時間がゆったりと流れている。佐貫さんは「(新型コロナウイルス禍)以前は男性1人の客も多かった。いろんな方に気軽に来てほしい」と笑顔で話した。
▼メモ 薬膳ベジタブルカレーは千円、セットは1600円(アイスコーヒーは100円増し)▽矢板市山田1080▽営業時間 木、金、土曜の正午~午後4時▽(問)0287・47・7314。