春から初夏のこの時季は、タケノコ、タラの芽、ウドなど山菜の天ぷらがお薦めだ。そば、うどんはもちろん、旬の食材を使った料理も、いわば「メインディッシュ」。
おかみの千葉泰(ちばたい)さん(86)が接客にいそしみ、長男で店主の勇一(ゆういち)さん(64)が料理の腕を振るう。
食材は「旬なら味がいいし、生産量もあるからお財布にも優しい」と勇一さん。夏はトマトの天ぷら、ナスの煮浸し、秋になると、キノコ料理、冬はサトイモの揚げだしといった具合だ。ニシンのうま煮、カモとワラビの柳川風なども扱う。さまざまな料理をつまみに晩酌を楽しむ左党も多い。
そば粉7割のそばは、喉越しを大切にして地元産を含めその年の出来がいい粉を使う。9割そばでは香りや甘みを重視し選ぶ。つゆもカツオをしっかり利かせたこだわりの一品だ。
なじみの客から「お母さん」と慕われる泰さんの笑顔も「看板」。7年前に亡くなった夫武雄(たけお)さんを含め、親子で切り盛りしてきた店は12月、30周年を迎える。「旬のものを食べてもらって、つながりができて、ありがたいよね」。出身の岩手・宮古なまりで穏やかに言った。
▼メモ 山菜の天ぷら盛り合わせ800円。7割そば650円▽大田原市浅香2の3380の145▽営業時間 午前11時半~午後2時、午後5時半~8時(ラストオーダー7時45分)▽原則月曜定休。毎月第3日曜の夜は休み▽(問)0287・23・2917。