日本科学技術ジャーナリスト会議(室山哲也(むろやまてつや)会長)は22日、科学技術に関する優れた報道や啓発活動などを表彰する「科学ジャーナリスト賞」の2024年度の受賞作を発表した。下野新聞社の連載・キャンペーン報道「アカガネのこえ 足尾銅山閉山50年」が優秀賞を受賞した。贈呈式は6月8日。◆特集「アカガネのこえ」はこちら

 「アカガネのこえ」は、かつて日本一の鉱都をなした一方で鉱毒事件をもたらした足尾銅山の閉山50年に合わせ、2023年1月から6月に計36回連載。企業城下町や公害の原点、過疎の町とさまざまな姿を見せてきた足尾を、近現代、そして将来の日本の縮図として見つめ、足尾が今に伝えるメッセージを探った。

 取材班として横松敏史(よこまつさとし)、飯田(いいだ)ちはる、伊藤慧(いとうさとし)の3記者が担当し、島野剛(しまのたけし)社会部長(現運動部長)がデスクを務めた。

 選考では、閉山から50年が経過した今も廃水処理が続く足尾のありようは原発事故後の福島にも通底しており、鉱毒事件を風化させないとする「ジャーナリズムとして質の高い連載」と評価された。

 24年度は計62点の応募があり、大賞にはNHKスペシャル関東大震災取材班の「映像記録 関東大震災 帝都壊滅の三日間 前後編」が選出された。優秀賞には、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会長を務めた尾身茂(おみしげる)氏の書籍と、ジャーナリスト古川雅子(ふるかわまさこ)氏の経口中絶薬に関するウェブ連載が選ばれた。

 「アカガネのこえ」は1月に、第28回新聞労連ジャーナリズム大賞の優秀賞を受賞している。