中外製薬がグループ会社の宇都宮工場内に新設する製造棟のイメージ

新規投資が決まった中外製薬工業宇都宮工場

中外製薬がグループ会社の宇都宮工場内に新設する製造棟のイメージ 新規投資が決まった中外製薬工業宇都宮工場

 中外製薬(東京都中央区、奥田修(おくだおさむ)社長CEO=最高経営責任者)は30日、宇都宮市清原工業団地にあるグループ会社の中外製薬工業(東京都北区、田熊晋也(たくましんや)社長)の宇都宮工場敷地内に500億円超を新たに投資し、先端的なバイオ医薬品の製造棟を2棟建設すると発表した。東京都内で建設中の製造棟などを含め、製造の難易度が上がっているバイオ医薬品の自社グループでの内製を進め、競争力の向上を図る。

 2棟とも2024年1月に着工し、稼働はそれぞれ26年3月と10月を目指す。

 新設する2棟のうち、一つは医薬品のもとになるバイオ原薬の製造棟で4階建て、延べ床面積は9791平方メートル。臨床試験用を含む中期段階以降の治験薬や、病院向けなど初期商用のバイオ原薬を製造する。生産効率の高い抗体培養の方式を導入するなど連続して生産できる機能も備え、次世代のバイオ医薬品工場の実現を目指すとしている。投資額は374億円。

 現在、東京都北区の浮間事業所では初期開発用の治験薬製造拠点の建設が進められている。宇都宮工場の新棟や既存の製造棟と合わせ、臨床開発から初期生産まで一貫した自社の供給基盤を強化することで、新薬の市場投入を加速させる考え。

 もう一棟は注射剤棟で3階建て、延べ床面積は7682平方メートル。初期商用の無菌注射剤を製造する。新たな製剤技術を導入し、複雑な構造を持つ抗体の製剤化に対応するとしている。ロボティクス技術を活用し、患者のさまざまなニーズに応え多品種少量生産するとともに、生産性の高いスマートファクトリーを実現する。投資額は190億円。 奥田社長CEOは「ヘルスケア産業のトップイノベーターにふさわしい世界水準の製薬・生産機能の実現を目指し、革新的な創薬アイデアを確実に医薬品として実現していく」とコメントした。