栃木県庁

 栃木県が2023年度、海外で新たに観光誘客拠点を増設する方針であることが3日までに、関係者への取材で分かった。中国とタイ、米国の3カ国に設置するとみられる。14年に開設した台湾の拠点と合わせ、計4カ所で積極的な誘客を進める。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和される中、本格的なインバウンド(訪日客)回復に向けて先手を打つ考えだ。

 県が14年10月、海外に初めて設けた台湾の観光誘客拠点では、同国の現地法人と業務委託契約を締結。旅行会社やメディア向けに観光情報を提供するほか、旅行者のニーズを的確につかむための情報収集を行っている。

 開設後、台湾から本県への宿泊者数は飛躍的に伸びた。コロナ前の19年まで、台湾からの観光客の宿泊者数は国・地域別でトップ。2位以下を大きく引き離し、誘客拡大に大きく寄与してきた。

 県の「とちぎ国際戦略」(21〜25年度)では、観光誘客を重点的に実施するエリアを設定。これまでの実績から三つのステージに分類し、中国とタイは、台湾と香港とともに最上位の「稼ぐ」、米国は今後増加が期待できる国として2番目の「拓(ひら)く」に指定した。

 3カ国に拠点を増設し、各国のニーズに合った情報提供に注力するなどして一層の誘客を図る。運営は台湾と同様に、民間委託する見通し。

 21年の外国人宿泊者数は、入国制限の影響で前年比58・5%減の1万6800人だった。県は「新とちぎ観光立県戦略」(21〜25年度)で、25年にはコロナ禍前の19年の24万7千人を上回るとする目標を掲げている。

 今後、再びインバウンドの誘致競争が激化するとみられる中、拠点の増設により本県の自然や歴史、文化といった観光資源を効果的にPRし、V字回復以上の成果を目指す。