会場に展示されている鳥瞰図などの図面

 【栃木】渡良瀬川の洪水や足尾鉱毒の対策のための渡良瀬遊水地ができてから、100周年を迎えたことを記念した企画展「100年前の渡良瀬遊水地と今」が、藤岡町藤岡の渡良瀬遊水地ハートランド城で開かれている。100年前の造成工事で使用された鳥瞰(ちょうかん)図などを展示。普段は公開していない資料ばかりで、往年の様子を知ることができる。来年1月15日まで。

 企画展は、遊水地の治水事業などに当たる国土交通省利根川上流河川事務所が主催した。

 遊水地の造成工事は1912年にスタート。渡良瀬川、思川、巴波(うずま)川の水路掘削や堤防整備が行われ、22年に遊水地の基礎部分の工事がほぼ完了した。治水のため現在も整備が進んでいる。

 企画展では、約100年前の渡良瀬川改修工事で使われた図面など8点を展示している。縦1メートル、横2メートル以上の大型図もあり、精緻に描かれた図面から当時の技術者の苦労を感じ取ることができる。資料は経年劣化していたため、保管していた同事務所が昨年度から補修していた。

 10年ごろの図面では、谷中湖がハート形になった由来を解説。市など4県4市2町にまたがる遊水地の全体を描いた鳥瞰図は、主要な河川や道路、当時運行されていた蒸気機関車が描かれている。図に登場する鳥はコウノトリとみられ、明治時代に生息していたことを示唆している。

 同事務所の足立誠(あだちまこと)保全対策官は「歴史的な河川技術や昔の様子を伝える資料なので、ぜひ立ち寄って見てもらいたい」と話している。