東島田の畑でテスト栽培中の桑の苗

 【小山】県内で唯一、蚕の餌となる桑の苗を専業で生産していた農家がこの春廃業し、市内の関係者は今後も苗を入手して養蚕を続けられるよう奔走している。JAおやまは、廃業した養蚕農家に苗のテスト栽培を依頼。桑を使い事業展開する社会福祉法人も、栽培技術の習得を模索する。

 廃業したのは南半田の小林征広(こばやしまさひろ)さん(82)。周辺はかつて養蚕や桑苗生産が盛んで、小林さんも地元の桑苗生産組合を通じて全国に出荷してきた。

 だが養蚕が下火になると需要が減り、生産者も減少。数年前に組合も解散した。小林さんは面積を減らして生産を続けてきたが、赤字が続いた上、苗木を畑から掘り出し、束にして出荷するのは重労働で、体調に不安もあり廃業を決めた。

 接ぎ木で育てる桑苗は、出荷まで2年かかる。小林さんは「生半可では覚えられないが、体がきつくて教えられない」と天を仰ぐ。