昨年末に8段審査に合格した佐山さん。日頃は穏やかな表情だが竹刀を握ると一変する=4月15日、栃木市内

 栃木県に“奇跡の剣士”がいる。栃木市のイチゴ農家、佐山正之(さやままさゆき)さん(49)だ。無名の存在ながら昨年11月に最高段位の8段審査に異例の一発合格。全国で実績を残した実力者でさえ長い歳月をかけて挑む難関を40代で突破し、現在は栃木県の国体チームのコーチも務めている。多くの「師」に導かれた剣道人生を振り返り「素晴らしい先生方の教えを正しく伝えていきたい」と先を見据えている。

 佐山さんが兄と姉を追い、父・晃(あきら)さんも指導していた「岩舟町少年剣友会」で竹刀を握り始めたのが静和小1年生の頃。岩舟中から栃木農高へ進学して以降は少人数の剣道部で稽古を積んだ。「勉強や運動が特別できたわけではない。取りえの剣道も大して強くなかった」と高校まで全国大会などの出場経験はなし。スポットライトとは縁遠い場所で自身の「刃」を研ぎ続けた。

■北海道時代の転機

 転機は北海道・酪農学園大3年生の頃だ。