作品の見どころを語る杉本監督=東京都内

「YOU達HAPPY 映画版ひまわり」の一場面。まちおこしに奮闘する佑香(右)が、東京からやってきた夏生(大東駿介)と並んで座る

作品の見どころを語る杉本監督=東京都内 「YOU達HAPPY 映画版ひまわり」の一場面。まちおこしに奮闘する佑香(右)が、東京からやってきた夏生(大東駿介)と並んで座る

 那須烏山市で町おこしに取り組む女子高生2人の姿を追った映画「YOU達HAPPY 映画版ひまわり」が8月4日から、宇都宮ヒカリ座で先行公開される。ドキュメントと芝居を融合させた手法で、過疎化に直面する地方の現状や住民の奮闘を描いた作品。企画段階から関わった杉本達(すぎもととおる)監督(54)は「実際の住民が地元を何とかしようと頑張ったりくじけたりする姿を見て何かを感じてもらえたら」と作品への思いを語った。

 映画はロックバンド「TUBE(チューブ)」のボーカル前田亘輝(まえだのぶてる)のラジオ番組で発案された。ツアーで回る地方の過疎化に心を痛めた前田が地方創生に貢献しようと、杉本監督と共に企画。撮影は昨年夏、同市内で約1カ月間行われた。

 番組リスナーの紹介で舞台となった同市を訪れた際、杉本監督は不安を覚えたという。「地元民も認める中途半端な町。『どうしよう』って」。人口約2万7千人。消滅可能性都市の一つだが、コンビニや家電量販店もあり、際立って不便なわけでもない。そんな、ドラマや映画の舞台としては見過ごされがちな場所だからこそ「那須烏山でしか撮れない映画にしようと思った」

 当初は台本通りに俳優が演じる「予定調和」な映画を構想していた。しかし住民と触れ合い、地域の問題を知る中で考えが変わる。「実在する人が実在する問題と向き合い、町の在り方を考えてもらう形にしたかった」。そこで採用したのが、明確な台本がないリアリティーショーの手法だ。

 映画とは知らされていない烏山高3年佐藤佑香(さとうゆか)さんと青木由比(あおきゆい)さんが、プロの俳優陣に誘導される形で物語が進む。地元を盛り上げようと挫折と成功を重ねた2人について、杉本監督は「『自分がやらなきゃ』という責任と義務を負ってすごく成長した。彼女たちで良かった」と目を細める。

 監督として意識したのは「町に受け入れてもらうこと」。出演者の生き生きとした表情や本気の姿を撮るためで、出演者以外の住民にも自然体で接し距離を縮めようと心掛けたという。

 映画がすぐに同市や地方を救うとは思っていない。それでも「出演者や鑑賞してくれる人が地元を見つめ直すきっかけになり、自分たちで町を盛り上げようという考えが広がってくれれば」と願っている。

 映画は103分。ヒカリ座は8月17日まで上映予定。9月1日から東京と名古屋、大阪でも公開される。