今年2月に移住した君島さん親子と、広々した自宅

木質化され、じゅうたん敷きで落ち着いた雰囲気の「もてぎ暮らしサポートセンター」

今年2月に移住した君島さん親子と、広々した自宅
木質化され、じゅうたん敷きで落ち着いた雰囲気の「もてぎ暮らしサポートセンター」

 人口減少、過疎からの脱却を掲げる茂木町が昨年度1年間に受け付けた移住・定住に関する相談件数が、県内市町で最多の344件と前年度比3倍以上に伸びた。昨年3月1日に「もてぎ暮らしサポートセンター」を町中心部に開設、専門の相談窓口を設けた効果が早くも表れた形だ。自信を得た町は「ないものねだりせず、あるものを地域の宝として発信していく」(企画課)と、町の知名度を上げるために発信力をさらに強化する。

 「高い収入がなくても家を持てるんだと感じました」。昨年結婚し、生まれた5カ月の長男を膝に、茂木、主婦君島早映(きみじまさえ)さん(33)は満足げにほほ笑む。

 益子町でアンティーク家具や器などを扱う店に勤務する夫の北斗(ほくと)さん(30)と益子で暮らしていたが、「より子育て環境がいい所に」と今年2月に移住した。

 ネットで1年ほど物件を探し、「移住先の情報が周辺より断然多く」「すごく住みやすいと聞いていた」茂木町で夫婦が選んだのは、同センターの空き家バンク登録の築50年超の中古住宅。5DK、敷地面積は300平方メートル以上、便利な町中心部にありながら、すぐ手が届く低価格が決め手だった。「町の子育てサポートも手厚い」と感じた。

 センター開設から今月10日までの移住・定住相談件数は、電話やメールだけの問い合わせを除き、利用登録をしている人だけで県内158件、県外72件、海外1件。君島さんのような移住・定住に結び付いたケースは19件ある。

 移住、仕事探し、子育て支援の情報をワンストップで入手できるのが同センターの特徴だ。開設前は町役場の企画課で相談を受けていたが、役場から離れ、幼児用のプレイルームもあるゆったりしたセンターで嘱託職員2人がじっくり話を聞けるため、相談の敷居が低くなった。

 「田舎過ぎず、ちょうどいい」と話す職員の籠尾美登里(かごおみどり)さん(35)も夫婦で町内に家を求め、子育てする移住組だ。「都会の騒がしさと無縁で、那珂川が魅力的。人もいい」と話す。専用ホームページに加え、先月末からはフェイスブックやインスタグラムでも町のイベントや風物、新規物件などの情報発信を始めた。

 課題は空き家バンクで実際に照会可能な物件は現在30件余りで、まだまだ少ないこと。町企画課堀江順一(ほりえじゅんいち)課長補佐はセンターという専門窓口ができたことを「相談場所が明確になり、アピールできている」と評価するが、「物件がなくては『来てくれ』とは言いにくい」と指摘する。

 注目が集まり始めた時機を逃すまいと、町は「『茂木町』そのものも知ってもらう必要がある」として、次の一手を打つ。5月に町を「ウェルカムファミリーの自治体」に認定したミキハウスや、会員制交流サイト(SNS)、道の駅もてぎを核に、首都圏を中心に町の知名度向上を図る考えだ。