5選を決め支持者とグータッチする福田富一氏=15日午後8時52分、宇都宮市西原町

福田富一氏

5選を決め支持者とグータッチする福田富一氏=15日午後8時52分、宇都宮市西原町 福田富一氏

 任期満了に伴う栃木県知事選は15日投票が行われ、即日開票の結果、無所属現職福田富一(ふくだとみかず)氏(67)=自民、公明推薦=が41万6628票を獲得し、元NHK宇都宮放送局長の無所属新人田野辺隆男(たのべたかお)氏(60)を破って5選を果たした。多選への批判を抑え、県政史上初となる5回目の当選を飾った。投票率は前回(33.27%)を5.46ポイント上回り、38.73%。同日投開票の宇都宮市長選は、無所属現職佐藤栄一(さとうえいいち)氏(59)=自民、公明推薦=が11万3025票を得て、弁護士の無所属新人須藤博(すどうひろし)氏(77)=立憲民主、共産、社民推薦=を退け、福田氏とそろって5選を果たした。投票率は41.07%だった。

 今回の知事選は、福田氏が共産系候補者との一騎打ちに圧勝してきた過去3回と異なる構図になった。2016年参院選で敗れたものの、野党統一候補として31万票を獲得した田野辺氏との対決に注目が集まったが、ふたを開けてみれば、福田氏が約21万票差をつけて圧勝した。

 福田県政4期16年の評価や新型コロナウイルス対策、昨年の台風19号への対応を含む防災対策などが争点になった。権力の座に長く居続けると腐敗するという意味の「権腐十年」を信条とする福田氏の多選も問われた。

 福田氏は立候補表明が8月に遅れたものの、国・県・市町の議員や市町長から幅広い支援を受けた。約270の各種団体の推薦も得て、組織力に裏打ちされた安定の選挙戦を展開した。

 公約は新型コロナ対策や台風19号からの復旧復興など新規75項目を含む計110項目。コロナ禍で大規模な集会ができない中、多選批判を警戒し、これまで以上に街宣や企業訪問を重ね、4期16年の経験や実績をアピールした。

 福田氏は15日夜、宇都宮市内のホテルで「実績と経験に基づく新たな施策で支持を得られた。その約束を実行する責任の重さをこれまで以上に何倍も感じている」と心境を語った。

 多選批判や魅力度の最下位転落などがあり、「今までにない守りながら攻める選挙。不安を抱えた手探りのつらい選挙だった」と振り返った。県政初の5期目に臨むことに対し「栃木が全国で選ばれ、リードしていけるよう身命を賭していく」と抱負を述べた。

 一方、2月に出馬表明した田野辺氏は「5期20年は長すぎる」と多選を批判し、県政刷新を訴えた。今回は参院選で共闘した野党各党の推薦や政策協定を拒み「無所属県民党」を貫いた。

 選挙戦では新型コロナの徹底的な封じ込めのほか、防災、エネルギーなどの分野で先進県となって魅力度を向上させていく未来像を訴えたが、勝手連による支援には限界もあり、有権者の支持は広がらなかった。

 田野辺氏は同日夜、宇都宮市内の選挙事務所で「もう少し接戦かと思ったが、ひとえに私の力不足」と敗戦の弁。「理想と未来の構想の共感と説得が十分でなかった」「組織の壁が厚く、声が届かなかった」と敗因を分析した。