茂木の町並み絵巻を書いた鶴丸光世さん(左)と、妻の正子さん

 【茂木】北高岡のデザイナー鶴丸光世(つるまるみつよ)さん(79)が、昭和の趣を残す町中心部の町並みを手描きイラスト46枚に描き起こし、長さ約25メートルもの絵巻に仕立てた。閉めた店も目立ち、かつてのにぎわいが懐かしい商店街が、想像の世界でにぎやかに、色鮮やかに再生された。4月から5月にかけて、ふみの森もてぎで展覧会「茂木の町並み絵巻展」が開催される。

 鶴丸さんは、妻の正子(まさこ)さん(78)とともに東京生まれの東京育ち。町の魅力にひかれ、1989年に40代で雑木林の中に家を建て、2012年からは移住して第二の人生を送っている。

 長く広告代理店に勤め、デザインを手掛けてきた技能を生かして大好きな町のために何かできないかと、「昭和の遺産が奇跡のように残されている」と感じていた町並みを描くことを決めた。まず縦町通りの茂木駅から北の通り両側約400メートルを画用紙(縦40センチ、横60センチ)46枚に描いた。

 絵は建造物を忠実に再現しているが、主役は元気な子どもたちで、町民が通りで働き、語らい、戸閉めした店はカフェや物販の店に生まれ変わった。映画のロケ隊や熱気球も描かれた。にぎやかな町の息遣いが伝わる温かな空想画だ。

 「僕はよそ者で年も年。厄介者になるだけでなく、自分の持つ力で少しでも町にお返しができたら」と鶴丸さんは話す。鶴丸さんの目に町は「東京にはない。汚れているかもしれないが貴重な景観」に映る。

 絵は昨年3月から11月までかけて仕上げた。朝8時から夜11時まで根を詰め、体調を崩したこともある。「自分も町に入り込んでしまったような感覚」という。正子さんも夫の描くそんな絵に「見ていてわくわくする」と目を輝かせ、展覧会の準備を後押しする。

 「絵巻展」は4月23日~5月10日。東西1枚ずつ2枚に分け展示する。絵巻は動画投稿サイトのユーチューブで見られる。

 光世さんは絵巻に「イラストリートビュー」と名付け、展覧会のチラシで「茂木の町をぜんぶ描く」と宣言した。「来年は横町通り」と意欲を見せている。