甲州種のブドウの出来具合を真剣な表情でチェックする日下さん

 【市貝】新規就農4年目の市塙(いちはな)、ブドウ農家日下篤(くさかあつし)さん(36)が、3年後のワイナリー開業へ夢を追っている。「ブドウ農家のワイン造り」はゼロからの挑戦。資金確保や醸造免許取得などハードルはいくつもあるが「一生チャレンジできる面白い仕事」と、気負わず着実に前に進んでいる。

 日下さんは北海道生まれ。中学から町に親と移住し、大学を出て種苗会社に勤務。「自分で作った作物を売れたら喜びが大きい」と、29歳で農業を志し、生食、酒類、食酢などさまざまに商品化できるブドウ栽培を選んだ。ワイン造りの本場山梨県の有力ブドウ農家で3年間修業し2016年4月帰郷。ほ場探しから始めた。

 ナシ用の棚をブドウに使える芳賀町祖母井(うばがい)の50アール、杉山の休耕地90アールを借りて苗を植え、町の支援も得て国や町の補助を受けて農機を入れ、棚やパイプハウスを設けた。

 今はマスカット・べーリーA、甲州の日本ブドウ2品種、シャルドネ、ピノノワールなど欧州ブドウ4品種を栽培。醸造を足利市のCfaバックヤードワイナリーに委託し、べーリーAで2018年に30本、今年は200本の赤ワインを販売した。自家産に山梨産のブドウを加え、来年は甲州種の白も含め2千本のワインを販売する予定だ。

 ワイナリーは事業計画の立案中だ。上根に建設候補地も見つかった。醸造免許を受けるには最低8千本の生産販売が必要といい、ワイナリーは「2万本の製造規模を目指す」という。2億円ほどの資金が必要になる。今後開業指導も仰ぐ予定のCfaバックヤードワイナリー増子春香(ますこはるか)さん(38)は「夢のあるいいこと。でも実際は資金も免許も販売も大変。培ったノウハウを伝えたい」と話す。

 日下さんは「理想のワインを目指す醸造家のワインはあるが、いいブドウがないとワインは造れず、逆に『農家が造るワイン』は貴重なのでは。醸造まで自分でやらないと納得できるワインはできない。世界と同等のものを目指し、人生の中で1、2回でも満足できるものができればいい。それを目指すのは楽しい」と話した。