県と県内市町が2018年度に受け付けた移住に関する相談は、前年度比1509件(51%)増の計4465件で調査開始以来最多を更新したことが27日までに、県総合政策部などのまとめで分かった。このうち市町に寄せられた相談は1563件(70%)増の3790件。合同移住相談イベントへの参加や移住のサポートセンター活用など、人口減少に危機感を持つ市町の積極的な取り組みが要因とみられる。
移住相談件数の調査は総務省が15年度から実施している。本県は2年連続で50%前後の伸びとなり、全国順位も17年度の35位から29位に上昇した。1万8142件の長野県が4年連続でトップだった。
県への相談は前年度から54件減の計675件。内訳は東京・JR有楽町駅前に設置する「とちぎ暮らし・しごと支援センター」への相談が407件、都内などで開催するイベント時に受け付けた相談が265件だった。
市町別では、大田原市が前年度の253件からほぼ倍増の517件でトップに立った。移住・定住サポートセンターを中心として対策を進めており、同市は「県主催の移住セミナーへの参加や、マラソン大会など市内イベントへのサテライトブースの出店などが影響した」としている。
前年度1位の茂木町は2位となったが、総合相談窓口「もてぎ暮らしサポートセンター」の拡充などを図り101件増の455件。鹿沼市が344件で3位、小山市319件、那須町280件と続いた。
県は全25市町が一堂に会しての移住相談会や多様なテーマの移住セミナーなどを企画。今年10月には25市町に県内企業も加わり、就職先も相談できる「合同移住・しごと相談会」を予定している。
18年度の本県への年間移住者数は2216人。前年度の2452人から減少したが、19年度の年間目標値1850人を上回っている。一方、18年の都道府県間人口移動数は2897人(日本人のみ)の転出超過で、人口減少に歯止めをかけるには一層の対策が必要だ。
県地域振興課は「相談件数は順調に伸びており、取り組みの手応えや市町の機運の高まりを感じている。今後は市町の受け入れ環境の充実をさらに支援し、県全体の底上げを図っていきたい」としている。
2018年度の移住相談件数の上位市町
順位 市町 件数
1 大田原 517
2 茂木 445
3 鹿沼 344
4 小山 319
5 那須 280
6 日光 277
7 栃木 269
8 那須塩原 252
9 足利 178
10 佐野 161
11 那須烏山 158
12 益子 133
※100件以上の市町のみ