国体県予選で初めてリレーチームを組んだ滝沢ハムの選手たち

 2022年とちぎ国体に向けて栃木陸上競技協会(渡辺方夫(わたなべのりお)理事長)が独自の強化策に取り組んでいる。成年種別の人材確保を目的とした「成年選手育成企業雇用対策委員会」を立ち上げ、本年度までの2年間で12人を県内企業・団体への雇用に結びつけた。実業団チームがない本県は社会人アスリートの強化育成が長年の課題で、渡辺理事長は「正社員・職員として雇用してもらっているので、国体後も地域への競技普及や競技力向上につながる」と期待している。

 同委員会が企業などにアプローチし、選手の意向も確認して採用してもらう仕組み。1980年栃の葉国体は教員採用で有望選手を確保したが、それが難しい中で民間をターゲットとした。企業側もモチベーションの高い労働力の確保や広告効果などの利点がある。

 新たに選手を雇用したのは、滝沢ハムや元気寿司の県内上場企業のほか、鹿沼市役所や佐野日大短大、ビッグツリーなど多岐にわたる。男子三段跳びの斎藤勇太(さいとうゆうた)(宇都宮記念病院)、同110メートル障害の降矢恭兵(ふるやきょうへい)(佐野市役所)ら日本選手権に出場経験のある選手の確保にも成功した。

 最多4人を受け入れた滝沢ハム(栃木市泉川町)は2018、19年度に2人ずつを採用した。宇都宮市内で7月に開かれた国体県予選会には初めてリレーチームを組んで出場。山口輝(やまぐちあきら)常務は「地元企業としての地域貢献のほかに、大きな目標に向かって頑張っている人が社内にいると周囲にプラスの影響を与えてくれる」と意義を説明する。

 選手4人は勤務時間を早めるなどしながら練習時間を確保し、退社後に市内の高校でトレーニングに励む。入社1年目の小林祐介(こばやしゆうすけ)は「働きながら陸上を続けられる環境が地元にあったので、入社を決めた」。2年目の吉沢尚輝(よしざわなおき)は「競技を続けたくても続けられない選手は多い。受け皿になってくれる企業があることはありがたい」と話した。

 栃木陸協の渡辺理事長は「県内企業に理解を示してもらい、こうした動きが出てきたことに意義がある」と強調。22年度入社まで取り組みを続ける予定で、「他県の有望選手獲得にもつながれば」と期待を寄せている。