そろいのお面をかぶり、オリオン通りを練り歩く加藤氏ら。SNSも活用したが、無党派層への効果は限定的だった=20日夜、宇都宮市内

 「野党、県民の皆さんの思いがつながったことは大きな財産になった」

 投開票日の21日夜、宇都宮市内の事務所で敗戦の弁を述べた野党統一候補の立憲民主党新人加藤千穂(かとうちほ)氏(43)。表情には悔しさがあった一方、清々しさも漂っていた。

 2016年参院選同様、自民党現職との事実上の一騎打ち。序盤から自民優勢が伝えられる中で、消費税増税凍結や老後資金2千万円問題を訴え続けた。

 相手候補が「順風ではなかった」と振り返ったように、陣営は終盤に手応えを感じる。結果は約8万7千票差。17万票の大差がついた前回とは異なり、その差をほぼ半分にまで縮めた。

 「かなり健闘した」。立民県連代表の福田昭夫(ふくだあきお)衆院議員はそうたたえたが、最後まで「風頼み」でもあった。

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 立民は昨年10月に加藤氏の擁立を決めたものの、野党統一候補に決定したのは5月下旬。落下傘候補の知名度不足をカバーするには時間が足りなかった。

 浸透を図ろうと、立民の枝野幸男(えだのゆきお)代表など多くの党幹部らが次々と本県入り。都市部で街頭演説する「空中戦」で、無党派層の取り込みを狙った。会員制交流サイト(SNS)を最大限活用し、支援者がそろいのお面をかぶって街中を練り歩くなど「楽しい選挙」も演出した。

 下野新聞社の出口調査で加藤氏は無党派層の55%の支持を集めたが、無党派層の投票割合は全体の18%に過ぎず効果は限定的だった。期待された若者や女性の取り込みでも苦戦した。

 投票率10%アップを掲げ勝機を見いだそうとしたものの、県内投票率は過去2番目に低い44・14%。政治への無関心は、加藤氏にとって向かい風となった。諸派の躍進も計算外だった。

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 旧民進党が国民民主党と立民に分裂したことも響く。支持母体の連合栃木は産別ごとに比例候補を抱えて支援先が分かれ、組織力を最大限発揮できなかった。「この状態では今後、戦えない」。連合栃木幹部は危機感を漏らす。

 「野党がまとまるだけでは届かない」。敗戦の弁で加藤氏はそう語り、地域での地道な政治活動の必要性を強調。立民県連の松井正一(まついしょういち)幹事長も「各地に根を張っていくことが必要だった」。大型選挙のたびに指摘される足元の脆弱(ぜいじゃく)さは依然として課題だ。

 保守王国の本県で、共闘だけでは超えられない高い壁。次の選挙に向け、戦略の見直しが迫られている。