なかなか当選確実が出ないテレビ中継を立ったまま見入る高橋氏の選対幹部ら。茂木県連会長(左から2人目)の表情は厳しさを増していった=21日午後9時、宇都宮市陽西町

 熱気に戸惑いが入り交じっていった。

 21日午後8時、宇都宮市内の選挙結果報告会場。自民党現職高橋克法(たかはしかつのり)氏(61)を支援する来場者約350人は6年前の再現を期待していた。出口調査の結果などから開票率0%で当選確実となる「ゼロ当」だ。

 だが1時間が過ぎても会場のテレビ中継は当確を伝えない。「まだか」。ざわめきが広がり始めた。出入り口付近には、立ったまま中継に見入る選対本部長の茂木敏充(もてぎとしみつ)県連会長。表情は険しさを増していった。

 午後9時半前に当確が出ると、高橋氏は小走りで壇上に登り、頭を下げた。「私はその程度ということです」

   ■   ■   

 終わってみれば、立憲民主党新人の加藤千穂(かとうちほ)氏(43)に8万7千票差での勝利。低投票率の中、順当との見方もある。だがある選対幹部は「想像以上に詰められた」と声を落とした。

 「足を止めると危ない。加速すれば大勝できる」。選挙戦中盤の13日に同市内で設定された緊急選対会議で、来県した甘利明(あまりあきら)選対委員長がねじを巻いた。それでも会場を出る参加者の緊迫感はどこか薄かった。

 統一地方選と重なる12年に1度の「亥年(いどし)現象」で、選挙疲れの議員や関係団体の動きは低調。県議選で現職が落選した選挙区や、市長選の保守分裂でひずみが生じた那須塩原市は組織の再構築の途上だった。

 陣営は低投票率が見込まれる中、基礎票固めに重点を置く。地べたをはって関係団体を回る「地上戦」を徹底すると、情勢報道では優勢が伝えられた。

 選対幹部は「組織全体で頑張ってくれて手応えはあった。だが緩みが出て、危機感を保てなかった」と自戒する。引き締め役の不在を指摘する声も上がった。

   ■   ■   

 今回は立民が全国で議席を伸ばした。「強い逆風はなかったが、年金や消費税の問題に対するノーの雰囲気は感じた」。高橋氏は当選から一夜明けた22日、そう感触を振り返った。

 自民が初めて野党統一候補と戦った前回2016年に比べ、得票数は11万票以上、得票率は5・4ポイント減った。6年間の実績、県外出身の新人相手であることを考慮すると物足りなさが残る。

 さらに加藤氏が統一候補となるまでのもたつきなど“敵失”もあった。「相手がもっと地道に回って、本格的な風が吹いたら次の選挙は一気に厳しくなる」(陣営関係者)。組織力で勝ち切ったが、今後に一抹の不安も残った。