移動販売車で高齢者に総菜などを販売する佐藤さん(左)

 【那珂川】3月で町地域おこし協力隊員を卒業した佐藤豊彦(さとうとよひこ)さん(54)=馬頭=が、買い物困難者向けの移動販売などを行う新会社「繋(つな)ごう農村」を設立した。このほど行われた開所式には福島泰夫(ふくしまやすお)町長や地元住民らが出席し、事業概要などを説明した。今後は高齢者の生活サポートや農作物の代行販売も手掛けたい考えで、「高齢者が安心して農村で暮らせる手助けをしたい」と話している。

 新会社は小砂(こいさご)の旧馬頭西小に設立。廃校の活用に加え、移動販売車の購入には町からの補助金を活用し、初期費用を抑えた。資本金は100万円で、社員数は佐藤さんを含め2人。4月11日から営業を開始した。

 現在、移動販売は町内や隣接する旧黒羽町などで行っている。車に地元商店街などから仕入れた総菜や果物、パンなどを積み、車の運転ができなくなった高齢者宅などを訪問する。

 定期的に佐藤さんの移動販売車を利用している小砂の女性(72)は「腰が不自由なので、家まで来てくれるのは大助かりです」と感謝していた。

 佐藤さんは2016年4月に地域おこし協力隊員になり、町特産品の野生イノシシ肉「八溝ししまる」専用の焼き肉のタレを発案するなど、特産品の販売促進などに関わってきた。

 高齢化や過疎化が進む町では、自宅近くで食料品などの購入が難しい「買い物弱者」が今後さらに増える可能性がある。

 佐藤さんが立ち上げた新会社ではこうした高齢者をサポートするほか、高齢農業者が作った農作物を代行販売したり、困り事の「ご用聞き」を行ったりして、高齢者がいつまでも農村に住み続けられるよう支援していく考えだ。