技術継承が危ぶまれる中、小山市は14年4月、結城紬の技術を習得し後世に伝える職員「紬織士」を初めて採用した。1人目の紬織士となった今泉亜季子(いまいずみあきこ)さん(28)は4年間で一通りの工程を学び終え、現在は絣くくりを主とした研修に取り組んでいる。
「結城紬の作業は分業で『次の工程の人に恥ずかしいものを預けられない』という思いから、高度な技術として成長してきたと感じている」といい、先人の背中を追う日々を送る。
伝統の技を身近に感じられる場所がある。本場結城紬の情報発信拠点として16年、JR小山駅西口再開発ビル「ロブレ」1階にオープンした「おやま本場結城紬クラフト館」だ。
館内に入ってすぐ右手にあるのが機織り機。ピンと張られたたて糸一本一本の細さが目に留まった。真綿から手で糸を紡いでいく作業は、考えただけで気が遠くなる。そこから20ほどの工程を経て織りに入る。高級なものでは織るだけで半年から1年ほどかかるというから驚きだ。
織り上がった布地に触れてみると、繊細で上品な、それでいてしっかりとしたさわり心地だった。
同館では糸紡ぎや地機織りの実演見学、織りや着心地体験ができる。ぜひ本県が世界に誇る文化遺産に触れてみてほしい。
【メモ】おやま本場結城紬クラフト館 午前9時~午後6時。休館は12月30日~翌年1月1日。コースター織り体験は毎月第3日曜、予約優先。(問)同館0285・32・6477。
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