空き家バンクに登録されている空き家。利用登録者数が物件数を大きく上回り、需要超過が課題となっている

空き家バンクに登録されている空き家。利用登録者数が物件数を大きく上回り、需要超過が課題となっている

 栃木市の空き家バンク制度「あったか住まいるバンク」が2014年1月のスタートから5年を迎えた。物件の成約率は60%を超えて全国トップクラス。累計成約件数は200件を突破した。一方、移住を検討しているバンクの利用登録者数が物件登録件数の2倍を超え、需要超過が課題となっている。(斉藤章人(さいとうあきひと))

 「モダンな感じでいい。子どもが遊べる環境もよく、落ち着いた生活を送れています」

 市出身のパート一氏哲子(いちうじてつこ)さん(42)は17年2月、同バンクで成約した城内町の築40年の賃貸住宅に、家族で都内から引っ越した。

 長男の小学校入学を前に漠然と移住を考えていたところ、同バンクの存在を知ったという。当初Uターンは頭になかったが「栃木市は他と比べて移住の制限が少なく、(バンクの)ホームページ(HP)も見やすかった」と決めた。

 同バンクは、空き家の売却・賃貸を望む所有者が市に登録申請し、HPに物件情報を掲載。利用登録者との仲立ち役となる。リフォーム代の補助などで空き家の活用を促す、県内初の制度として13年度にスタートした。

 市は15年度、定住促進や空き家対策を担う住宅課を新設。物件内部の写真を増やすなどバンクのHPの充実を図ったほか、補助金など移住者を支援する諸制度も整えた。

 バンクの利用登録者数は、14年度の17人から18年度(19年1月30日時点)は254人へと大幅に増加。物件成約件数も18年度(同)は67件に達し、バンク開始以降、前年度超えが続く見通しだ。

 一方、物件登録件数も毎年増えているが、利用登録者数の増加には追いついていない。

 需要超過の改善を目指し、市は17年度から、自治会と連携した空き家の早期発見・活用事業を始めた。自治会の情報収集力を生かし、新しく発生した空き家のバンク登録を促す事業で、これまでに各自治会から200件を超える情報が寄せられた。

 ただ同課によると、空き家を発見しても、所有者との協議や物件の調査などで、登録には時間がかかるという。

 物件によっては登録直後に成約されるなど競争も激しい。同課は「これだけ移住を考えている人がいるのにもったいない。空き家の発見数は増えており、なんとか需要に供給が追いつけるようにしていきたい」としている。