子どもたちを映画館に招待するイベントを県内で初開催した「キッズインシネマ」代表理事の新井さん

チケットを手に入場する園児たち

子どもたちを映画館に招待するイベントを県内で初開催した「キッズインシネマ」代表理事の新井さん チケットを手に入場する園児たち

 コンセプトは「全ての子どもたちに映画館で映画体験を」-。一般社団法人「キッズインシネマ」(東京都千代田区)は2021年から、地域の幼稚園児らを映画館に無料招待する企画を東京都内などで続けている。発起人である足利市出身の新井厚太(あらいこうた)代表理事(52)は2月中旬、市内映画館で本県初開催を実現。過去最多となる約320人が貸し切りのスクリーンで作品を堪能し、「エンターテインメントの入り口になってくれたらうれしい。たくさんの笑顔が広がり感慨深い」と語った。

 新井さんは足利二中、佐野高を経て日本大法学部卒。芸能プロダクション代表を務める傍ら、2児の父として家族との時間も大切にする。

 企画のきっかけはコロナ禍だった。外出を制限され、退屈そうに過ごすわが子の姿を目の当たりにしたことや、“不要不急”とされ苦境に立たされたエンタメ業界の一員として、「何か一つでも未来のために残したい」と決意した。

 ヒントになったのは自身の思い出だ。幼少期、市内の映画館で見た「ドラえもん」がきっかけで映画好きに。文化や芸術に携わる原体験だと振り返る。

 その上で「経済的理由や動画配信サービスの普及により、映画館が『遠い存在』になっている」と指摘。各地の子どもたちに鑑賞機会を無償提供しようと、構想を練った。

 21年3月に都内で初開催。24年には一般社団法人を立ち上げ、個人や企業などに賛同、協賛を募りながら、計7回実施(25年末現在)した。

 足利市では大月町の「ユナイテッド・シネマ アシコタウンあしかが」でディズニー・アニメーションの「ズートピア2」を上映した。参加した市内10幼稚園の年長児たちは入場券の半券を回収する「もぎり」を体験し、新作の予告編に続き本編を鑑賞。食い入るようにスクリーンを見つめ、展開に一喜一憂しながら物語の世界を満喫していた。

 足利みどり幼稚園の相良(さがら)つむぎちゃん(6)は「映画館で見るのは初めて。大きな声が響いてとても迫力があった」と興奮気味に話していた。引率した園関係者も「友達と笑い合ったり、お互いに目を見つめたり。共感しながら楽しんでいた」と取り組みに感謝した。

 今後、全国展開を目指す新井さんは「『キッズインシネマがきっかけで映画に携わるようになった』という人が参加者の中から出てくれるのが大きな夢です」と目尻を下げた。