地域の隠れた「映えスポット」など、ふらっと立ち寄りたくなる県内の場所や風景を隔週で紹介します。

 栃木市中心部の商店街「ミツワ通り」を歩いていると、高く伸びる煙突が遠くからでも目に入る。昼も夜もモクモクと伸びる白い煙。玉川の湯(金魚湯)がまきで湯を沸かしている合図だ。

 1889(明治22)年の創業から140年近い歴史を持つ。金魚湯は常連客から長年親しまれる愛称。由来は浴槽から金魚が泳ぐ水槽が見られるからだ。

 重厚感のある玄関をくぐると、年季の入った木製の番台で椎名克江(しいなかつえ)さん(75)が笑顔で出迎えてくれた。「いらっしゃい」。ここで生まれ育ち、子どものころから手伝いで番台に座り、店の歴史を見つめてきた。

玉川の湯の番台を守る椎名さんと重厚な玄関
玉川の湯の番台を守る椎名さんと重厚な玄関

 午後2時の開店から続々とのれんをくぐる常連客。「タオルはいるかい?」「今日は早いね」。椎名さんは一人一人に優しく話しかけながら、暮らしを支える社交場を守っている。