観察したマウスの大脳皮質(九州大稲垣成矩助教、今井猛主幹教授提供)

 九州大などの研究チームは12日、生きた状態のまま哺乳類の脳組織などの透明性を高め、組織深部の観察を可能にする試薬を開発したと発表した。「世界初」の成果だとし、脳機能の理解が一段と進み、新薬開発への活用が期待できると説明している。

 九大などによると、一般的に哺乳類の組織の多くは不透明で、光を使って組織の深部を観察するのは難しい。死んだ後の組織を透明化する研究は進められてきたが、従来の試薬は毒性が高いといった理由から組織の正常な機能を保つのが困難で、生きた組織の透明化は実現していなかった。

 研究チームは血液中に多く含まれる「ありふれたタンパク質」のアルブミンを試薬に使用。透明化を妨げる光の屈折を抑える効果がある一方、毒性はなく、細胞の状態に大きな影響を及ぼさないため、生きたマウスに麻酔をした上で大脳皮質の透明性を高め、蛍光顕微鏡で深部の神経細胞などを観察することに成功した。

 研究チームは今後、組織の観察がより難しい霊長類の脳機能の計測などにも応用できる可能性があるとしている。