ちゃんこ鍋の仕込みをする東浪=2日、大阪市西淀川区の玉ノ井部屋宿舎

 大相撲春場所の初日、富士の輝(右)を攻める東浪。小手投げで破る=8日、エディオンアリーナ大阪

 ちゃんこ鍋の仕込みをする東浪=2日、大阪市西淀川区の玉ノ井部屋宿舎  大相撲春場所の初日、富士の輝(右)を攻める東浪。小手投げで破る=8日、エディオンアリーナ大阪

 大相撲の序二段力士、東浪(41)=福島県出身、玉ノ井部屋=は数年前から部屋の食事を一手に担う「ちゃんこ長」を務めている。入門前にすし職人を約1年経験。人懐こい笑顔の裏には、東日本大震災で被災した故郷、浪江町の復興を願う思いが常にある。

 「帰省すればありのままの姿で人々と触れ合える。それでまた明日から頑張ろうと思える」

 原発事故の影響で、浪江町はすぐに避難指示が出された。住めなくなった実家は取り壊され、今は更地だ。東浪は「悲しみという言葉でしか言い表せない。実家のにおい、記憶はずっと残っている」と視線を落とした。

 福島・好間高を卒業後にすし職人となった後、製造業に従事。2007年秋場所に22歳で初土俵を踏んだ。今は稽古場よりも調理場にいる時間の方が長い。

 大震災発生から1カ月後、玉ノ井部屋は相馬市へちゃんこ鍋の炊き出しに出向いた。東浪は懸命に手伝った。「3月11日に自分がいたら何ができただろうか。今も年に何回も考える」と話す。

 8日に始まった春場所。ちゃんこ長は土俵での取組と並行しながら鍋を切り盛りする。