ミラノ・コルティナ冬季五輪フィギュアスケート女子フリーの演技を終え、中野園子コーチ(左)に迎えられる坂本花織=19日、イタリア・ミラノ(共同)

 フィギュアスケート女子で金メダルにわずかに届かなかった坂本花織(25)は、中野園子コーチ(73)を思って悔し涙を流した。現役最後の五輪。21年間の競技人生を共に歩んできた恩師は「よく戦った」と強く抱き締めてくれた。

 「距離を置かせてほしい」。2024年9月、坂本は中野コーチに送ったメールで、こうつづった。調子が上がらない自らのいら立ちに加え、妥協を許さない厳しい指導に限界を迎えていた。

 約3週間、リンクでたった一人で練習した。しかし状態は一向に上がらない。「離れた時に必要さに気付く。私一人では甘さが出てしまう」。謝罪に出向くと、恩師から言われた。「あなたの一番のファンは私や」

 中野コーチは5年前に大腸がん、その翌年に肺がんを患った。それでも手術から2週間後には指導に戻った。「先生は命懸けで向き合ってくれている」。信頼関係が2人の絆を強くした。

 今季限りで引退後、コーチ見習いとなる教え子に恩師は言った。「あなたが『銀』になったから、今度は、あなたが金メダリストを育てていきなさい」。(共同)