オープン参加の関東学生連合で9区を走った日本薬科大2年溜池勇太(ためいけゆうた)(那須塩原市出身)。トップから20分以上の後れを取り、アンカーは繰り上げスタート。たすきをつなげることができず苦しい表情で中継地点に戻ってきたが、「欲を出したら足がけいれんして。舞い上がった」とレース後は充実感を漂わせた。

 野球部だった厚崎中時代、健脚を買われて出た陸上の大会で面白いように記録をたたき出した。だが、陸上1本に絞った県立高では結果を出せずもがき苦しみ、夢だった箱根が遠のいた。走ることを辞め、高校も中退。何もかも逃げ出した。

 宇高の通信制に編入後、再びランニングシューズを履くと、2年連続で全国定通制総体1500メートル、5千メートルを制した。高卒認定試験に合格し、大学で本格的に陸上に再挑戦。予選会で好走し学連メンバーに抜てきされた。

 「簡単に諦めただめな自分を払拭(ふっしょく)できる気がする」。そんな思いで臨んだ23・1キロ。9区も繰り上げで5人が一斉スタート。序盤の下りでリズムをつくり、17キロ辺りまで快走。しかしライバルのスピードアップに「対応する力がなかった」と足を削った。沿道から家族や地元の友人、小中学時代の恩師ら大勢の声援を受け、区間13位相当で走りきった。「楽しかった」。吹っ切れた笑顔だった。

 挫折を味わった道は遠回りではなかった。そして箱根路が教えてくれた。「やっぱり走ることが好き。次は大学のチームでたすきをつなぎたい」。次の目標を見つけ、新たなスタートを切る。