お酒が発酵し、上槽(醪を搾ること)したのは2月4日。偶然にも立春搾り酒になった。瓶詰め、ラベル貼りも体験した。瓶詰めを行ったのは液体充填機。瓶をノズルに差し込むと定量のお酒が注がれる。当初、曲がって差し込んだり、充填後の抜き方が中途半端だったりしてこぼれた。慣れてきたかなと思う頃には予定量は終了。次にスクリューキャップ(ステンレスの栓)を付ける作業。これも栓を閉める回転部が上下に一定のリズムで動く打栓機の対応にうまく適応しないと、栓が傷つき商品にはならない。瓶の置き方が曲がったり、位置がずれたりすると、瓶が割れる場合もあり、恐る恐るやっていた。リズムに乗ってこつを教わると、作業はあっという間に終了した。

酒瓶に命を吹き込む感じがするラベル貼り=2月11日、鹿沼市上粕尾
酒瓶に命を吹き込む感じがするラベル貼り=2月11日、鹿沼市上粕尾

 ラベル貼りは面白い。ラベルがなければ、ただの水の入ったガラス瓶と変わらない。そこにラベルが貼られることで、その液体には命が吹き込まれるという感覚になった。

 杜氏(とうじ)の寺澤圭一(てらさわけいいち)製造部長は、依頼を受けた酒質について、香りは穏やかで、しっかりとした味乗りした味わいと解釈。イセヒカリを掛米に使うことで、きれい過ぎず、お米の味わいがしっかり残るお酒を目指したという。酵母はバナナのような香りで、酸が割と出る「きょうかい9号(熊本酵母)」をメインに、複雑な味わいを出すため「きょうかい14号(金沢酵母)」を加えて醸したという。

完成した「左党・イトウの今夜も一杯」酒瓶を持つ筆者=2月11日、鹿沼市上粕尾
完成した「左党・イトウの今夜も一杯」酒瓶を持つ筆者=2月11日、鹿沼市上粕尾
酒造り体験に参加した下野新聞社の社員ら=1月11日、鹿沼市上粕尾
酒造り体験に参加した下野新聞社の社員ら=1月11日、鹿沼市上粕尾

 結果、私の好きな濃醇タイプで、要望通りやや酸味を感じる味わいに仕上がっており、満足いくものだった。賛同者からも「口に含んだ瞬間、腰の据わった骨太の味わいを感じ、芳醇(ほうじゅん)なフルーツの香りもあった」「火入れと生と両方をお願いし、飲み比べてできてよかった。火入れはスッキリ感があり、生は重厚感があった」という感想が寄せられた。酒造り作業の体験者からは「子供とともに貴重な体験ができ、実際に出来上がったお酒は想像以上においしかった。ただ買って飲むだけでなく、体験とセットで楽しむことで、お酒の魅力を深く感じることができた」と感動していた。

嶋田屋酒店宮みらい店角打ちコーナーで2月27日から数量限定で提供になる純米吟醸「左党・イトウの今夜も一杯」
嶋田屋酒店宮みらい店角打ちコーナーで2月27日から数量限定で提供になる純米吟醸「左党・イトウの今夜も一杯」

 もう一つ、面白い試みが控えている。JR宇都宮駅東口の嶋田屋酒店宮みらい店で「角打ち」コーナーを運営する嶋田雄二(しまだゆうじ)社長からもオリジナル酒造りの賛同を得ていた。2月27日から「角打ち」コーナーで、火入れ酒5本分(4合瓶)を限定酒として味わえるようにするという。興味のある方はぜひ味わっていただき、感想も聞かせてほしい。

(伊藤一之)

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