祭壇には沖縄土産の菓子がいくつも並んでいた。

 3月27日に那須町で起きた雪崩事故で亡くなった矢板市荒井、大田原高の高瀬淳生(たかせあつき)さん=当時(16)=宅を21日に訪ねた。淳生さんが今月、行くはずだった修学旅行。その土産を同級生たちが届けていた。

 「いつも気に掛けてくれて、ありがたい」。母晶子(あきこ)さん(51)は、息子への思いを重ねるように、親しみを込めて同級生のことを話してくれた。

 月日がたっても息子を失った悲しみは変わらない。「最近、淳生の遺影を見るのがつらくなった」。事故が起きた登山講習会の責任者らに対し、当初はなかった感情も抱くようになった。「責任の所在を明らかにして、罪を償ってほしい」

 会話の中で、ある事故が話題になった。群馬県藤岡市の県立高で20日、サッカー部の男子生徒(17)の頭にハンマー投げのハンマーが当たり、亡くなった。

 雪崩事故は部活動の安全意識向上に一石を投じたはずだ。「また起きてしまったね…」。晶子さんの言葉には、無念さだけでなく怒りがにじんだ。淳生さんが参加した講習会も7年前、雪崩に遭っていたが、教訓は生かされなかった。

 県教委は再発防止策を検討している。登山や部活動に関わる全ての人たちは、いま一度「安全」について本気で考えてほしい。悲惨な事故が再び起こる前に。

 これまで何度も自宅に足を運び、手を合わせて写真の淳生さんと向き合ってきた。雪崩事故からきょう27日で9カ月。淳生さんの「声なき声」を胸に、これからも取材を続けていく。