年末恒例の「ユーキャン新語・流行語大賞」候補に選ばれた「忖度(そんたく)」。日常で使うことが少なくなった漢字が、首相官邸の意向を官僚が配慮したと指摘された森友、加計(かけ)学園問題で注目された。

 改めて手元の新明解国語辞典を引くと、忖度の語意は「他人の気持ちをおしはかる」とある。漢語的な表現であるが、円滑な人間関係を重んじて気を利かせる日本社会の性質を表したような言葉だ。

 「政権1強」の政治状況で、官邸主導と政官の関係がクローズアップされた。問題の文書に記された「総理の意向」の真相は不可解だが、官僚側にとっては、あらがい切れない語感があり、神経をとがらせたであろうと察する。

 こうした危うさは官僚社会に限ったことではない。有力者の言動に敏感に反応しながら、意に沿う結果になるよう物事を進め、異論を容易に差し挟めない空気は、社会のさまざまな場面であるだろう。古い難語の流行は、日本社会に根強く潜在化する同調圧力を表しているのかもしれない。