宇都宮から実家に向かう途中の千葉県野田市に関東大震災(1923年)直後の9月6日に起きた事件の現場がある。福田村事件。香川県から行商に来ていた幼児や女性を含む日本人9人が自警団に殺された。

 震災当時、東京や横浜などで「朝鮮人が暴動を起こして井戸に毒を入れ、爆弾を持って歩いている」などの流言が広がった。デマが民衆を恐怖させ、各地に自警団が組織されていた。

 本紙を含め震災直後の新聞各紙を読むと、混乱ぶりが伝わってくる。紙面には「不逞(ふてい)鮮人各所に潜入 危険極りなく」「石油を詰め家屋に散布して放火する」などの見出しが躍る。

 昨今、うそのニュースを意味する「フェイクニュース」という言葉が聞かれる。会員制交流サイト(SNS)などを通じて誤情報は以前より広がりやすくなった。昨年の熊本地震でも「動物園のライオンが逃げた」などのデマが拡散した。

 受け手の側に読み取る能力(メディア・リテラシー)が求められる一方、正確性をよりどころにするメディア側の責任もより重くなっている。肝に銘じたい。