15回目の当選が確実となり、駆けつけた福田富一知事と握手する船田元氏(左)=8日午後8時25分、宇都宮市戸祭町、森田大地撮影

 第51回衆院選は8日投開票が行われ、県内小選挙区では自民党が3区以外で前職と新人の公認候補4人が当選したほか、3区でも自民党籍を持つ無所属新人が初勝利し、与党系候補で全5議席を独占した。新党「中道改革連合」は広がりを欠き、前職2人を含め4人全員が小選挙区で敗北した。高市早苗(たかいちさなえ)政権の高い支持率を背景に、保守王国の本県でも自民系が圧勝した。本県小選挙区の投票率は53・00%。

 4区では、引退した佐藤勉(さとうつとむ)元総務相の後継として出た自民新人石坂太(いしざかまさる)氏(45)が初勝利。序盤は知名度不足が響いたが、佐藤氏の後援会組織の支援も受け、終盤にかけて猛追した。

 中道前職藤岡隆雄(ふじおかたかお)氏(48)は実績をアピールしたが及ばなかった。中道入りを巡る出遅れ感もあり、これまでの支持層を固めきれなかった。

 参政党新人野口智子(のぐちともこ)氏(45)と無所属新人大貫学(おおぬきまなぶ)氏(68)は広がりを欠いた。

 2区では、自民前職五十嵐(いがらし)清(きよし)氏(56)が小選挙区で初勝利した。「公明票」離れによる落ち込みが懸念されたが、業界団体を中心に組織戦を展開し、保守層をしっかり固めた。

 中道前職福田昭夫(ふくだあきお)氏(77)は、頼りの労働組合が支えたほか、終盤には公明党本部の幹部が応援入りして新党の一体感をアピールしたが届かなかった。参政新人藤田久美(ふじたくみ)氏(47)への支持は限定的だった。

 3区は無所属新人の渡辺真太朗(わたなべしんたろう)氏(33)と自民前職簗和生(やなかずお)氏(46)が前回同様に激戦を展開。前回178票差で涙を飲んだ渡辺氏は、組織体制を強化して再挑戦した。一部自民系の首長や業界団体の支持も得て自民支持層や無党派層を取り込んだ。

 簗氏は5期13年の実績を訴え、終盤には高市首相が応援に駆け付けたが、票を伸ばせなかった。中道新人伊賀央(いがひろし)氏(61)は反自民票の受け皿を狙ったが伸び悩んだ。

 1区は自民前職船田元(ふなだはじめ)氏(72)が15回目の当選を飾った。序盤は劣勢との見方もあったが、宇都宮市議や県議らを中心に組織のてこ入れを図り、他の候補を突き放した。中道新人小池篤史(こいけあつし)氏(49)と日本維新の会元職柏倉祐司(かしわくらゆうじ)氏(56)は善戦したが及ばなかった。

 参政新人大森紀明(おおもりのりあき)氏(54)、共産党新人青木弘(あおきひろし)氏(65)、無所属新人石川文三郎(いしかわぶんざぶろう)氏(69)は苦戦した。

 5区は自民前職茂木敏充(もてぎとしみつ)氏(70)が盤石の組織力で12回目の当選を果たした。国民民主党新人寺田和史(てらだたかふみ)氏(47)、共産新人岡村恵子(おかむらけいこ)氏(72)、参政新人宮本陽介(みやもとようすけ)氏(38)は及ばなかった。

■解説 高市旋風、本県でも

 本県でも高市旋風が吹いた。自民党が「政治とカネ」の問題で逆風を受け、小選挙区で3議席獲得に終わった前回から一変。高い政権支持率を追い風に、無所属自民系候補を含めて全5議席を独占した。

 選挙前、高市人気に懐疑的な目を向ける自民関係者は少なからずいた。野党の振り切りを狙ったともいわれた解散劇を、内部からですら「自己都合解散」と批判する声が上がっていた。

 しかしこうした声は公示後に覆った。ある自民関係者は「歩くほど勢いを確信した」と話す。物価高で県民生活が苦しい中、「責任ある積極財政」のキャッチフレーズの下で繰り出された学校給食の無償化や、医療従事者を支える診療報酬改定などの各種施策は幅広い層に受け入れられた。

 象徴は4区だろう。佐藤勉(さとうつとむ)元総務相は、当初予算成立後の解散総選挙を想定し、後継へのバトンタッチを想定していたとされる。急な解散で新人の石坂太(いしざかまさる)氏(45)が後継に決まったのは投開票日のわずか20日あまり前。超短期決戦で当選を手中に収めたのは、政権の追い風も一因だった。

 一方、本県の有権者は立憲民主、公明両党が合流した中道改革連合に厳しい審判を下した。前回は立民として小選挙区で初めて2議席を得たが、今回は前職を含む4人全員が落選した。「老舗同士の合併で浮動票は取れない」という声もあり、風を受けた自民とは対照的だ。県内の小選挙区に擁立した他党も存在感を示したとは言えず、今後の党勢拡大に重い課題を残した。

 国政や県政の課題に目を向ければ、物価高や人口減少といった課題が山積し、政府の2026年度予算案は審議入りすらしていない。本県選出の衆院議員が課題にどう向き合うのか、有権者は注視する必要がある。今回大勝した自民も国民の厳しい目を意識しなければ、期待は失望に変わるだろう。