栃木県が6日発表した2026年度当初予算案は、次期重点戦略「新とちぎ未来創造プラン」を実行に移す施策が多く盛り込まれた。通底するのは少子化をはじめとする人口減少問題の克服。県の最重要課題に対する姿勢が色濃くにじむ。
これまで十年以上にわたり人口減少対策を講じてきたが、出生率は下げ止まらず、女性を中心に若者の県外流出も止まらない。それでも減少速度を緩め、人口減を前提とした社会づくりを進めなければならない。
記者会見した福田富一(ふくだとみかず)知事は本年度開催した官民による県人口未来会議を念頭に、「オール栃木体制で人口減少、少子化対策に取り組んでいく」と強調した。
予算には同会議の意見も反映されており、次期プランで掲げた「人づくり戦略」や「産業成長戦略」など五つの重点戦略の施策を着実に推進し粘り強く取り組むことが、克服に近づく一歩となる。
24年の本県の「合計特殊出生率」(女性1人が生涯に産む子どもの推定人数)は、全国平均と同じ1・15で過去最低を更新した。総務省の25年人口移動報告によると、本県は2011人が県外に流出し「転出超過」が続く。出生率は次期プランで、30年までに1・35に引き上げる目標を掲げた。
予算には結婚、出産、子育てを支援するメニューが並ぶ。子育て世帯の経済的負担の軽減を目指し、公立小中学校の給食費を無償化する。国の施策で実施される小学校に加え、県独自で中学校でも実施する。
子育て世帯の住居確保を支援するため、空き家のリフォームに対する助成も行う。子育てや教育環境を充実させることで、定住促進、流出抑制につなげたい。
官民連携で人口減少を乗り越えようと、県は本年度、県内の企業や団体に「人口未来アクションプラン」の作成を呼びかけている。これまでに400弱の企業・団体が作成したが、十分とは言えない。県内での対策機運を高めるには、さらなる拡充が不可欠だろう。
産業力の強化は地域の活力に直結する。県は半導体やロボット、宇宙を重点支援成長分野と位置付け育成する方針を示した。県内中小企業の技術力を高度化し新規参入を促進するとともに企業を呼び込むことで、競争力のある地域を目指してほしい。
持続的な賃上げは引き続き重要なテーマで、人材確保に向けて欠かせない。だが中小零細企業にとっては大きな負担であり、実現するには収益力を高める必要がある。
中小企業変革支援事業は、個々の企業の経営課題に応じてサポートし、持続的な収益力強化を目指す。デジタルトランスフォーメーション(DX)や人材育成、組織風土改革など五つのコースを設け、伴走支援する。企業側は自社の経営課題に向き合い、活用を前向きに考えたい。
県債残高が1兆円を超えるなど硬直した財政事情は変わらない。新年度はクラウドファンディング型ふるさと納税など新たな発想で自主財源確保を目指すという。宿泊税を含めた観光振興財源を検討する有識者会議も立ち上げる。今後もさまざまな角度から、新たな財源を模索すべきだ。
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