藤川佳三監督

 「対話のゆくえ」より

 「対話のゆくえ」より

 藤川佳三監督  「対話のゆくえ」より  「対話のゆくえ」より

 京都大の学生寮「吉田寮」を題材にしたドキュメンタリー映画「対話のゆくえ」が完成した。2月7日の京都大百周年記念ホール(京都市左京区)を皮切りに、各地で上映会を行う。藤川佳三監督は「寮はお互いの考えを受け止める余白がある場。その実感をタイトルに込めた」と話す。

 吉田寮は木造で築110年以上の「現棟」と2015年に完成した新棟などで構成され、寮生の自治によって運営。一方、大学側は老朽化などを理由に退去を求め、近年対立が続いてきた。

 映画は18年7~9月に撮影。寮の退去期限が同9月末に設定される中、大学側に話し合いを求めながらも日常生活を続ける寮生らの姿を追い、「生活が脅かされる不安や葛藤のリアル」を捉えた。

 完成までは時間を要した。当初の試写では寮生から「自治や話し合いを、概念で捉えている」と指摘され、内容を見直し「全く違う映画になった」という藤川監督。「生活の場を共にするため、違いを受け止めつつ納得できる地点を探す作業なんだと。僕もやっと分かった」

 強制的な立ち退きは避けられたが、大学は19年に一部寮生を提訴。昨年成立した和解で、今年3月末までに寮生は現棟から退去し、耐震工事を行うと決まった。ただ、工事の進め方などを巡り、寮問題の解決は遠い。藤川監督は「映画を、大学の在り方を考えるきっかけにもしたい」と語る。