今回は、栃木県ゆかりの美術家である渡辺豊重(わたなべとよしげ)を紹介します。渡辺は1931年に東京で生まれ、川崎市で長く暮らしていました。川崎には自宅兼アトリエがありましたが、次第に「もっと広いアトリエがほしい」と思うようになります。ちょうど同じ頃、友人で宇都宮市に住んでいた彫刻家丑久保健一(うしくぼけんいち)の個展を見るために、馬頭町(現・那珂川町)を訪れました。

 馬頭では町長をはじめ町の人々が集まっていて、渡辺を温かく迎えてくれたことに驚いたといいます。そのような人々の優しさや豊かな里山のある環境にひかれた渡辺は、1990年に馬頭に新たなアトリエを造ります。2000年には完全に移住して、23年に亡くなるまでこの地で過ごしました。

大きなバルーンでできた「モクモク」
大きなバルーンでできた「モクモク」

 渡辺は馬頭のアトリエで作品を制作する傍ら、地域のイベントにも積極的に参加しました。そこで人気だった作品の一つが、「モクモク」です。