年々減少している日光杉並木の景観を維持するため、県は後継木を補植する方針を決めた。現在の並木杉は寄進を受けた日光東照宮が所有者だが、後継木は道路管理者の県が所有することを前提として県が主体的に実施する。
長年の懸案が一つ取り除かれたことを歓迎したい。国内で唯一、国の特別史跡と特別天然記念物に二重指定された貴重な文化遺産である。今後は県と東照宮が今まで以上に緊密に連携し、世界に誇れる景観を後世に残せるよう努力してほしい。
約400年前の1625年に植樹が始まった杉並木は、総延長が約37キロにも及ぶ。当初は約5万本あったという。しかし東照宮に残る台帳によれば、1961年に約1万6千本となり、現在は約1万2千本まで減った。直近の約10年では約100本減っており、減少傾向は加速している。
原因は車の排ガスや振動などによる枯死、強風や雷などの自然災害による倒木である。県がさまざまな樹勢回復策を講じて効果を上げているものもあるが、抜本的な対策には至っていない。
所有者が東照宮で道路管理者が県という「ねじれ」も原因だった。民家に倒木がぶつかり、所有者の東照宮が責任を問われることがあった。東照宮は県に応分の負担を求めてきたが折り合いがつかず、補植は長年行われないままだった。
今後新たに植える後継木は、所有権を持つ県が責任を負うことになる。新年度から現地調査し、計画策定を経なければならないため、実際の補植は数年後になりそうだ。その間に枯死の原因を個体ごとに調べ上げ、データベース化しておくことが望まれる。
補植する杉の種類は遺伝的な多様性か、それとも同一性を重視するのかでも異なる。花粉の飛散が少ない樹種もある。多様な専門家の意見を聞きながら検討してほしい。文化庁にも協力を求めたい。
長期的には継続的な保守点検の在り方も検討が必要だ。現在は県が募集した保護ボランティア「並木守(なみきもり)」が約120人おり、杉並木周辺の清掃や草刈りを実施している。
活動をさらに充実させるには、若者が気軽に入れるような仕組み作りが必要である。日光市も積極的に関わり、ギネスブックにも掲載された荘厳な景観の維持へ地元から機運を醸成してもらいたい。
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