県産農産物の輸出をさらに拡大しようと、県は農産物輸出促進方針を初めて策定した。2030年度の目標輸出額を15億円に設定。輸出促進品目とターゲットとする国・地域を選定し、輸出拡大を図る狙いだ。

 24年度の輸出額は8億2千万円超で過去最高を更新した。30年度の目標達成には、新たな産地育成や販路の開拓、他国・他県産農産物との差別化など取り組むべき課題は少なくない。産地間で情報交換するネットワークを構築して優良事例を共有し、横展開することで競争力を高めたい。

 県は「とちぎ農業未来創造プラン」の中で、25年度の農産物輸出額を10億円とする目標を掲げている。人口減少や国内市場の縮小が進む中、本県農業の持続的発展にはさらなる輸出拡大が不可欠だとして、輸出に特化した方針をまとめた。

 輸出促進品目は、実績がある牛肉とイチゴ、コメ、ナシの4品目を選定。国・地域は、香港やシンガポールなどの東南アジア、米国などのほか、新たに豪州やニュージーランドで牛肉に関し市場調査や販路開拓に取り組む。品目や地域を絞って後押しする方針だが、海外情勢やニーズの変化には柔軟に対応し、状況に応じた見直しが必要だ。

 輸出に取り組む産地の形成・育成と、海外需要の喚起や販路開拓は車の両輪で大きな課題だ。生産者にとっては輸出のメリットやリスク、必要な手続きなど不明な点は少なくない。

 方針では、農家や事業者向けの相談窓口を各農業振興事務所に設けるとしている。産地間のネットワークづくりにも取り組む予定で、取引開始から拡大まで継続的に支援し、産地を育成してほしい。

 国は農水産物・食品の輸出額を25年に2兆円、30年に5兆円とする目標を掲げている。全国の自治体が輸出促進に取り組んでおり、他地域との差別化も重要だ。県は、牛肉が循環型農業の一例として売り込むことなどを想定している。各品目の強みを前面に出し、ブランド力を向上させたい。

 日本食人気などにより、日本の農産物需要は海外で高まっている。本県は首都圏に位置し国内需要も高いことから輸出産地の広がりは限定的だが、生産者は将来を見据え、経営戦略に取り込むことを前向きに検討すべきだろう。