鹿沼市出身のプロ野球西武・今井達也投手が、アメリカ・メジャーリーグのアストロズへの入団が決まりました。下野新聞デジタルでは、作新学院高のエースとして2016年夏の甲子園に優勝してから、栃木県勢で44年ぶり高卒ドラフト1位指名されるまでを紹介します。
2016年夏の甲子園 作新学院、全国制覇 54年ぶり2度目 北海に逆転勝ち
第98回全国高校野球選手権大会第14日は21日、甲子園球場で決勝を行い、作新学院が南北海道代表の北海に7-1と逆転勝ち、春夏連覇を成し遂げた1962年の第44回大会以来、同校としても県勢としても54年ぶり2度目の全国制覇、深紅の大優勝旗を手にした。
守って、走って、打つ。甲子園の決勝という大舞台で作新学院らしさが全開した。11安打の打線と無失策の守り、攻めの走塁がかみ合った。
今大会初めて先制を許した作新学院は、1点を追う四回、山本拳輝(やまもとげんき)の2点二塁打など4安打を集め、5得点で逆転に成功。五回は途中出場の鈴木萌斗(すずきもえと)が相手守備の隙を突く好走塁で、七回は鮎ケ瀬一也(あゆがせかずや)の適時打でそれぞれ1点を加えた。
先発の今井達也(いまいたつや)は最速152キロの速球と切れ味鋭い変化球で被安打7、9奪三振。ピンチでは山本、鈴木らの好守備にも助けられ、強打の北海を1失点に抑えた。
史上初の春夏連覇後は、怪物といわれた江川卓(えがわすぐる)投手を擁しても頂点には立てなかった。80、90年代は甲子園からさえ遠ざかった。長い低迷期を経て、2006年に当時23歳の小針崇宏(こばりたかひろ)監督が就任。09年、31年ぶりに夏の甲子園出場を果たすと、11年からは県内では前人未到の6年連続で代表を勝ち取り、甲子園の土を踏むごとに全国レベルの力をつけた。
作新学院ナインは22日に帰着する予定。
聖地で成長 夢つかむ
全国高校野球選手権の誕生から101年目の夏。作新が校名の通り、「新たな歴史」をつくった。加藤斌(かとうたけし)投手を擁して史上初の春夏連覇を果たした1962年8月19日から54年と2日。後輩たちが西日の差し込む聖地で深紅の大優勝旗を奪還した。「幸せです」。そう言うと、山本拳輝主将は目を潤ませた。
創部115年で初優勝を狙う北海(南北海道)に序盤で1点を先制されても作新ナインに動揺は見られなかった。四回に打者11人で5点を奪うと五、七回も小技と機動力を絡めて追加点。エースの今井達也は三回以降、三塁を踏ませない安定感抜群の投球で流れを渡さなかった。
尽誠学園(香川)、花咲徳栄(埼玉)、木更津総合(千葉)、明徳義塾(高知)と並み居る強豪を投手力、打力、守備力で撃破した。しかし、決勝で勝利の原動力となったのは、ベンチからのサインがなくても選手自身が考え、あらゆる場面に即応できる自主性と判断力。これこそ2006年に就任した小針崇宏監督が追い求めてきた理想の形だった。
新チーム結成時に「最弱」と評された選手たちがこだわったのは「伸び率」。栃木大会で6試合に勝利し、本県の連覇記録を6に更新しても「日本一に向けて6回戦が終わっただけ」(山本主将)と達成感をにじませることはなかった。甲子園に乗り込んだ後の練習でも調整の域を超えた猛練習を継続。「勝負するのは相手ではなく自分」「最後の1アウトを取るまで成長は可能」。一人一人が小針監督からもらった言葉を胸に刻んでいた。
リオ五輪の競泳400メートル個人メドレーで金メダルに輝いた同校OBの萩野公介(はぎのこうすけ)選手が本県のプールから世界一へつながる道を示してくれたように、作新ナインは本県のグラウンドから全国3874校の頂点につながる道を示した。「夢は見るものではなく、かなえるもの」。萩野選手に続いて本県の子供たちに教えてくれた功績は計り知れない。
(2016年8月22日掲載)
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