漫画「特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ」の表紙

 漫画「特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ」より。「チェー」が登場する場面

 漫画「特別じゃない日」作者の稲空穂

 漫画「特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ」の表紙  漫画「特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ」より。「チェー」が登場する場面  漫画「特別じゃない日」作者の稲空穂

 小さな町を舞台に、老夫婦や女子高校生の何げない日常を描く人気漫画の最新刊「特別じゃない日 おばあちゃんのレシピ」(実業之日本社)が発売中だ。作者の稲空穂は「読んでくださった方が、自分にとって大事な人を思い出す機会になれば」と話す。

 家族や近所の人同士が、互いをさりげなく思いやるエピソードが並ぶ連作短編集。これまで6冊が刊行され、女性を中心にファンを増やしてきた。どの巻からも読めるように巻数を振らず、1冊ごとにテーマを設けて副題を付けている。

 最新刊のテーマは「おやつ」。揚げた干しいも、余ったフライの衣で作るドーナツなど、懐かしい手作りおやつを巡る家族の物語が展開する。「食べることが好きなので、描いていて楽しかった」と稲。各話の最後にはレシピを添え、読者が実際に作れるようにした。

 稲のお薦めは、ココナツミルクをベースにしたベトナムのデザート「チェー」。登場人物の一人、コンビニで働くベトナム人留学生の「ふるさとの味」を描くため、取材に訪れたベトナム料理店で教わった。「日本のぜんざいに似ている、という店員さんの話からストーリーが膨らみました」

 大きな事件が起こらない物語が支持される背景を「現実世界の情報量が多すぎて、疲れている人が多いのでは」と分析する。次作は本がテーマだといい「今まで通り、身近な出来事から幸せを見つけてお話を作りたい」と語った。