メディア、マーケティング、事業成長の未来を形成する3つの不変的な人間行動を提言

 電通グループ(ブランド:「dentsu」、本社:株式会社電通グループ、拠点:東京都港区、代表者:代表執行役社長 グローバル CEO 五十嵐 博)は、グローバルで実施した2026年メディアトレンド調査「Human Truths in the Algorithmic Era(アルゴリズム時代の人間の真実)」(以下、「本調査」)を発表しました。本調査は、dentsuのメディア・プラクティスが主導し、世界30名のメディアの専門家の知見を集約し制作されました。

 AIや自動化、文化の融合によって、人々の発見、つながり、消費のあり方が変化する中でも、シンプルさ(simplicity)、社交性(sociability)、アテンション(attention)の3つの不変的な人間行動に基づく、9つの主要なメディアトレンドを特定しました。本調査では、アルゴリズムの影響が強まる時代において、これらの不変的な人間行動がブランドおよび企業(以下、総称して「ブランド」)の成長にどのように影響を与えるのかを示すとともに、その活用に向けた指針を提示しています。

 

 2026年にブランドの成長を牽引すると予測される3つの不変的な人間行動と、それに基づく9つの主要なメディアトレンドは以下の通りです。

 

1. 人々は複雑になるまではシンプルだ(We Are Simple Until We Are Complex)

 複雑さが増す現代において利便性が重視される中、ブランドは効率性と人々の感情のバランスを保ちながら、シンプルさと驚きを両立させた顧客体験を設計することが重要であると示しています。

 トレンドは以下の通りです。

 

・トレンド1:検索体験最適化(SEO:Search Experience Optimization)の台頭

検索が会話型やマルチモーダル型※1に進化する中で、オーディエンスに最適にリーチし、ユーザーの行動全体をサポートするための新たな要件が求められています。

 

・トレンド2:デジタルデリゲーション(Digital Delegation)※2の台頭

AIエージェントは、消費者にこれまでにない利便性を提供することでしょう。しかし、戦略的な思考無しに用いれば、マーケティング上の課題は解決されず、複雑化させてしまう可能性があります。

 

・トレンド3:フリクションパラドックス(Friction Paradox)※3がコマースを定義

消費者の購買行動は一方向ではなく複雑化しています。こうした状況で、マーケターはフリクション(摩擦)を戦略的に管理する必要があります。フリクションを活用することで、消費欲求を喚起し、購買体験をシンプルにし、消費者の気分や状況に応じた体験設計が可能となります。

 

2 .  人々は社会的な生物(We Are Social Animals)

 デジタル中心の環境においても、人とのつながりは人間行動の中核です。影響力が分散する中で、コミュニティやクリエイターが文化を形成する重要性が高まっています。

 トレンドは以下の通りです。

 

・トレンド4:コミュニティが物語を形作る(Communities Shape the Narrative)

影響力が益々分散する中で、ブランドは参入するコミュニティにどのように関わるべきかを再考する必要があります。クリエイターと協業するだけでなく、ブランド自身がクリエイターとなり、価値あるコンテンツや体験を生み出していくことが求められています。

 

・トレンド5:共有された記憶が違った形で響く(Shared Memories Hit Different)

ストリーミングプラットフォームでのライブコンテンツの活用から、ミレニアル世代のノスタルジーを活用した施策まで、共有された記憶(共感する過去の文化や体験)を重視することでブランドは大きな成果を得ることができます。

 

・トレンド6:ビジネスメッセージングが台頭(Business Messaging Takes Off)

ユーザーの利用拡大に収益化が追いつきつつあり、メッセージングプラットフォームはブランド成長のための主要チャネルとして台頭しています。

 

3 .  人々は広告を読まない(We Don’t Read Advertising)

 人々は、広告を読むのではなく、興味を惹くものを読みます。アテンションはマーケティングにおける最も貴重な資源となっています。また、ブランドは広告の量よりも質を重視する必要があります。

 トレンドは以下の通りです。

 

・トレンド7:AI生成オーディエンスが有効な消費者インサイトを導き出す(AI-Generated Audiences Unlock Consumer Insight)

AIによって生成された消費者プロファイルは、データや調査を実践的なインサイトや成果につなげることを可能にします。これにより、マーケターはより認知を拡大できるキャンペーンを実施することができます。

 

・トレンド8:アテンションの長期的評価(Attention Gets A Longer-Term Look)

動画がブランドの長期的な売上に与える影響を適切に測定するソリューションの登場により、マーケターはブランド価値と成果のバランスを見直すことが可能になります。

 

・トレンド9:エンターテインメントがブランドに新たな可能性をもたらす(Entertainment Opens New Brand Avenues)

スポーツ、アニメ、マイクロドラマなどのエンターテインメントを通じて、ブランドが消費者とより深く関わる新たな接点が拡大しています。

 

【(株)電通グループ グローバル・プラクティス・プレジデント - メディア ウィル・スウェイン(Will Swayne)のコメント】

「クリックやスクロールの一つ一つがアルゴリズムの影響を受ける時代において、最も強力なインサイトは依然として人間に根差したものです。ブランドは、アルゴリズム時代において投資判断を行う際、不変的な人間行動を中核に戦略的思考を構築し、“時間を超えても変わらない本質”に注目する必要があります。」

 

※1:マルチモーダル型は、複数の異なる種類のデータ(モダリティ)を同時に処理・理解できる能力やシステムを指します。

※2:デジタルデリゲーション(Digital Delegation)は、デジタルツールやプラットフォームを活用して、業務や権限を他の人に委任することを指します。

※3:フリクションパラドックス(Friction Paradox)は、利便性や効率性を追求して摩擦(フリクション)を完全に取り除くよりも、あえて適度な摩擦を残すことで、体験の価値や納得感、信頼、欲求が高まる場合があるという逆説的な考え方を指します。

 

本調査の詳細レポート(英語のみ)を無償で提供しており、以下のURL よりダウンロード可能です。

https://insight.dentsu.com/2026-media-trends/

 

以 上

 

【リリースに関する問い合わせ先】

株式会社電通グループ グループコーポレートコミュニケーションオフィス 小嶋、杉浦

Email:group-cc@dentsu.com