サイクロンの被害に遭った寺院=2日、スリランカ・キャンディ(ロイター=共同)

 【ニューデリー共同】世界有数の紅茶の産地スリランカを襲ったサイクロンの影響で、政府高官は25日までに、紅茶生産量が最大35%減少する恐れがあると明らかにした。28日でサイクロン上陸から1カ月。世界銀行は被害額が41億ドル(約6400億円)に上ると発表しており、復旧には時間がかかりそうだ。

 サイクロンは全土に被害をもたらし、特に中部のキャンディやバドゥッラは大規模な洪水や土砂崩れに見舞われた。いずれも紅茶の産地で、茶畑が壊滅状態に陥った。道路や橋などのインフラも損壊し、復旧の妨げとなっている。

 業界団体によると、スリランカの昨年の紅茶生産量は約26万2千トン。主要な輸出品で雇用や観光収入の柱でもあるが、茶畑のほか、労働者の家の多くが流失した。学校や寺院で避難生活を続けている人もおり、失業につながる懸念がある。

 災害対策当局によると、死者は643人に達し、183人が行方不明となっている。日本政府は医師や看護師らで構成する国際緊急援助隊医療チームを派遣し、被災者の治療などに当たった。