奈良文化財研究所(奈良市)などの研究チームは24日、ウクライナから出土した中世人骨の歯石に新たな分析方法を用い、キビの摂取を示す成分を検出したと発表した。従来の分析法では見過ごされることがあり、研究チームは「過去の微細な食習慣を知る新たな方法を示した」とした。
研究チームは、ウクライナ中部のオストリフ墓地(10~12世紀)の出土人骨から歯石を採取。数ミリグラムを加熱し、気体にして成分を分類する「熱脱着ガスクロマトグラフィー・質量分析法」で、31個体のうち8個体からキビ特有の成分「ミリアシン」を確認できた。
キビは古来、ユーラシア大陸で主要な食料の一つとされた。これまでの骨や歯のコラーゲンを用いた「安定同位体分析」では、摂取が一定以上でなければ検出できず、季節的な摂取などは把握できなかった。
研究所国際遺跡研究室の庄田慎矢室長は「歯石の分析でキビの摂取を特定したのは世界で初めて。嗜好品などに分析を広げ、地域ごとの食生活を詳細に知れる可能性が開けた」と話した。
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