DNA解析に使用された約3万4千年前のナウマンゾウの臼歯の化石(瀬川高弘山梨大講師提供)

 ナウマンゾウの復元図(府高航平氏作製)

 DNA解析に使用された約3万4千年前のナウマンゾウの臼歯の化石(瀬川高弘山梨大講師提供)  ナウマンゾウの復元図(府高航平氏作製)

 氷河期の日本に生息していた「ナウマンゾウ」のDNA解析に初めて成功したと、山梨大や国立科学博物館などの研究チームが24日までに米科学誌に発表した。約105万年前にユーラシア大陸の近縁種と分かれた古い系統と判明したといい、チームは「比較的新しい時期に分岐したという従来の考えを覆す結果だ」としている。

 ナウマンゾウは、氷河期にアフリカからユーラシア全域に広く生息していた「パレオロクソドン」という絶滅ゾウの仲間。化石の記録から、日本列島には約30万年前までに渡来し、約2万2千年前に絶滅したと考えられている。

 チームは青森県で出土した約4万9千年前と約3万4千年前の臼歯の化石計2点を使い、母親から子どもに受け継がれるミトコンドリアDNAの塩基配列を検出し、最新技術を使って解析した。

 ミトコンドリアDNA配列によるパレオロクソドンの系統は二つに分かれており、今回の2点の配列は片方に含まれた。同じ系統内の近縁種と分岐した時期は、約105万年前と推定された。