俳優の染谷将太が脚本と演出を担当したSFラジオドラマ「だまっていない」(NHKラジオ第1)が29日夜、放送される。音の表現の可能性を模索したという染谷は「聞く人によって全然違う景色が広がったらいいなと思って作りました」と話す。
人間に擬態した異星人を監視している悠吾(渡辺大知)と咲恵(菊地凛子)は、ある日、異星人の攻撃を受け、別々の時代に飛ばされてしまう。異星人の目的は何か、2人は平穏な世界を取り戻すことができるのか。他者との共生を巡る哲学的な問いが浮かんでくるようなストーリーだ。
メインキャストの一人として大河ドラマ「べらぼう 蔦重栄華乃夢噺」に出演していた際、染谷が番組スタッフに、構想を相談したことが企画の始まり。「べらぼう」の撮影の合間を縫って打ち合わせや収録を行い、染谷自ら編集も手がけた。「NHK局員になったような気持ちで、不思議な時間を過ごしました」
こだわりは状況を説明するナレーションを入れず、音だけでタイムスリップや異星人の襲撃を表現したこと。抽象的なせりふも多用し、聞く人の想像力をかき立てる構成だ。
奇想天外な物語には「今の世の中の混沌とした部分を切り取れたら」との意図を込めた。そこに各地で絶えることのない争いに心を砕く自身の思いが投影されている。「音だけで想像することが意義ある時間になるんじゃないかな。地球の平和を願って書きました」
放送は午後10時5分から。NHKFMでも2026年1月10日放送。
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