◎今週の一推しイベント
【20日(土)】
▽「織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ」(~26年1月18日、渋谷区)
デンマークデザインの巨匠ハンス・ウェグナーさんの軌跡を紹介する回顧展が、渋谷のヒカリエホールで開催されている。
東海大名誉教授の椅子研究家・織田憲嗣さんのコレクション(北海道東川町が文化財登録)を中心に、椅子約160点をはじめ家具、図面など計約200点を集めた。国内では最大規模のウェグナー展となる。
生涯で500脚以上の椅子をデザインし、「ザ・チェア」(1949年)「Yチェア」(50年)は世界的に知られる。織田さんは「初めてウェグナーの椅子に出合った時、その美しさ、機能性とオリジナリティーに魅了された。彼がデザイン界に残した功績を作品の数々から読み取ってほしい」と話す。
その原点を伝えるのは、17歳当時の習作「ファーストチェア」(31年)と38年制作の「セカンドチェア」だ。会場に並ぶ両作品(復刻版)には、類いまれな才能の片りんがうかがえる。「若い時から家具職人として優れた技術を磨き、木材それぞれの性質を見極める眼力を養った。どの椅子も機能性と独創的な美しさを実現している」と織田さん。
会場構成を担当した建築家の田根剛さんは「デンマークの家具は北欧でも水準が高く、その頂点がウェグナー。椅子という狭い分野での活躍だが、どの作品にも深い奥行きを感じる。彼の世界観を自分なりの視点で提示してみた」と話す。
一部の作品で、実際に座り心地を試せるコーナーも。人の生活に寄り添うデザインを追求し続けた巨匠の神髄を、五感で味わうことができるだろう。
○そのほかのお薦めイベント
【20日(土)】
▽「能登と東京をつなぐSIDE COREの新作映像」(~26年1月25日、渋谷区・シビック・クリエイティブ・ベース東京[CCBT]、入場無料)
地下水路、幹線道路など都市や地域のインフラに注目した作品で知られるアートチーム「SIDE CORE(サイドコア)」による特別展「新道路」が開催されている。渋谷から原宿に12月移転した、アートとデジタルテクノロジーの活動拠点「CCBT」のリニューアルオープン記念展。
東京から能登半島へ向かう旅を通して、道や移動が持つ意味を探求する映像作品「living road」を上映する。作品の背景を説明する資料なども紹介し、屋外には撮影で使った車両を展示。分断された地域や社会に新たなバイパス(抜け道)を見いだす試みだ。
メンバーの松下徹さんと高須咲恵さん、西広太志さんは2023年の奥能登国際芸術祭に参加して以来、石川県珠洲市などの地域と縁を深めてきた。「24年に能登半島地震と豪雨災害に見舞われてから、より身近な感情を抱くようになった」という。復興支援のボランティアやリサーチ活動で何度も被災地へ足を運び、厳しい現実と向き合う中で「絶えず変化する東京と、復興へと向かう能登半島をつなげる映像作品が生まれた」。
支援活動を通じて出会った俳優の坂口彩夏さんが、東京から車で能登を訪れる女性を演じている。高速道路での移動シーンや被災地の海辺の場面で見せる微細な表情と身体の動きを通し、都市の生活が各地域の自然や資源を基盤に成り立っていることを伝える。
サイドコアの活動に映像ディレクターとして参加している播本和宜さんは「災害で寸断され姿を変えた道路を見て、インフラは物理的に機能するだけでなく、コミュニティーと生活を支える存在だと深く認識した」と語った。金沢21世紀美術館(金沢市)では「living road」の別バージョンを上映中。
▽カルティエホリデーポップアップ「THE ART OF GIFTING」(~28日、中央区、事前予約制、入場無料)
フランスの宝飾ブランド「カルティエ」の銀座2丁目の施設で、ホリデーシーズンのイベントが開かれている。メゾンを象徴する意匠「パンテール」(ヒョウ)をテーマにしたイベントの一環。
エントランスに飾った高さ5メートルのクリスマスツリーのそばで、かわいらしいヒョウの子ども(ベビーパンテール)たちが絵画から飛び出す映像を上映。見どころは、スイス・ジュネーブで所蔵する「カルティエコレクション」約3500点から厳選した貴重なアーカイブ18点の展示だ。
誰もが知る世界的喜劇俳優が妻にプレゼントした時計や、フランスの著名女性デザイナーに英国貴族が贈ったシガレットケースには、愛と友情の特別な物語が感じられる。
クリスマスを祝う5種類のメッセージがそれぞれ印刷された赤いカードから1枚を選び、20種以上のフレグランスから好みの香りを付けるサービスも。また、メッセージをその場からLINE(ライン)で友人などへ送れるデジタル画面も設置。“贈るよろこび”に触れる機会となるだろう。
▽「夜の老舗喫茶店で大人の時間楽しむ」(千代田区)
昨年11月に期間限定企画として都内に開設され、レトロな雰囲気で話題を呼んだ「深夜喫茶 カルーア」が、老舗喫茶2店に常設オープンした。
有楽町の「珈琲館 紅鹿舎」で19時から、神田神保町の「ミロンガ ヌオーバ」では12月末まで平日17時から“深夜喫茶”を営業。
良質なアラビカ種コーヒー豆を使用したコーヒーリキュール「カルーア」のオリジナルカクテルやスイーツなどを用意。居酒屋やバーとは異なるノスタルジックな空間を演出し、大人がゆったりとくつろげる時間を提供する。
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