宇都宮市大谷地区の大谷石地下採掘場跡地でワインを熟成しているフランスワイン商社のシュヴァリエ(東京都港区、太田嘉代子(おおた・かよこ)社長)は、現地の熟成庫入り口に大谷支店を開設した。今後、大谷からの情報発信を強化し、大谷熟成ワインのブランド力を高める考えだ。
同社は1989年から長さ約80メートルの大谷石採掘横坑跡を活用し、輸入ワインを熟成している。気温が10~16度に保たれ、年間通して湿度が90%以上、光や振動が遮断された天然の最適な熟成環境という。最大30万本を貯蔵できる。
熟成ワインの出荷は従来、大谷から都内の貯蔵庫にいったん移してから顧客に発送していた。支店開設後は蔵からの直送に切り替えた。「お客さまが商品を開けたときに大谷の香りがするようなプレミアム感を上乗せして届けたい」(富澤祐(とみさわ・ゆう)ウェブマネージャー)という。
12月13日には、文化庁「日本遺産」でもある大谷石採掘場跡地の魅力を巡る宇都宮市主催の文化財保存活用ツアー「プレミアムな地下蔵と美酒に出会う、大人の大谷旅」を受け入れた。同社が外部のツアーを受け入れるのは初めて。
県内外から参加した19人は大谷資料館の後、同社の地下蔵を見学した。この日は寒く、蔵内が逆に温かく感じたり、多湿のため、エチケット(ラベル)が腐食し、それも熟成が進んだ証との説明を受けたりし、天然熟成の環境を体感した。
そして蔵熟成ワインの試飲会。参加者の多くはこれが目当てだったようで、ワインを味わいながら同社社員に熟成ワインの魅力などを質問した。福島県白河市から1人で参加した女性(53)は「蔵見学後に試飲できるなんて格別です。想像以上においしかった」と堪能していた。
富澤マネージャーは「人的に対応できれば、こうしたツアーを受け入れていきたい。熟成ワインでワインのおいしさ、大谷の食の魅力を発信したい」と話している。今後、大谷観光を彩る魅力の一つにお酒が加わりそうだ。

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