「百年厨房」(小学館)に引き続き、「オリオンは静かに詠う」(同)もオーディオブックになりました。
「オリオンは静かに詠う」は、なかなか不思議な動き方をしていまして、発売当初はもっぱら地元・宇都宮や百人一首に興味のある方にお読みいただいていました。その後、塾の先生が「中学の入試問題に出るかも」とSNSなどで発信するようになってからは、小学生とその保護者の方にも手に取っていただいているようです。
昔から、「自分の作品が試験問題に使われるというのは、どのような気持ちになるのだろう」と思っていました。その最もたるものが、「下線部の内容について、登場人物の気持ちとして適当なものを選べ」。
自作が試験問題に採用された小説家さんが、「私の答えとは違う」とSNSにアップしていたりして、興味津々でした。
それが現実となったのは、「ナカスイ!海なし県の水産高校」(祥伝社)。地元の私立高校をはじめ、全国で4~5校ほどの中高入試問題で採用していただきました。入試問題なだけに、事前に連絡はなく、終了してから作者宛てに出版社経由で送付されてきます。
わくわくしながら問題文を開くのですが、試験問題として読んでみると、別物に感じられるから不思議ですね。
そしてやっぱりあった、「この時の登場人物の気持ちとして適当なものを選べ」。
答えと私の考えが一致するものもあり、やっぱり合わないものもありました。
実際のところ、「登場人物の気持ち」ではなく「問題制作者の考える『登場人物の気持ち』」を選ぶのが試験というものですから、そのへんはドライに考える必要があるのでしょう。
その意味で、清水義範先生の大傑作小説「国語入試問題必勝法」(現在は講談社から文庫版が出ています)は必読です。私は高校時代に深夜ドラマを観てこの作品を知ったのですが、これで学んだ解き方しかできなくなってしまいました。
話は戻りまして、「オリオンは静かに詠う」は発売直後から中学受験用の模試や教材などで使用申請をいただき(これは「ナカスイ!」では無かった)、この原稿を書いている時点で10社近く申請をいただいてます。
そのたびに問題や解説を読むのですが、「ここまで掘り下げるんだー」と衝撃を受けています。逆に、「私、こんなこと意図して書いたっけ」と冷や汗を流す始末。
間もなく受験シーズン本番。もしも問題に採用していただけるのであれば「オリオンは静かに詠う」に少しでも触れていただけるキッカケになると思うので、作者としてはありがたいことです。
私自身は中学受験の経験がないので、大変恐縮なんですが…。
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