外部から差し入れられたタイ語の雑誌を確認する国際対策室の職員。外国語の書籍はすべてチェックされる=2015年2月27日午後

 

 国内最大の女子刑務所「栃木刑務所」(栃木市惣社町)が2028年4月に廃止される見通しとなった。今から10年前の2015年、下野新聞は記者が塀の中を取材したルポ企画「更正へ…償いの道 栃木・女子刑務所の現状」(全6回)を報道しました。受刑者の高齢化や国際化、再犯の増加など多様化する問題に迫った記事を通じて、栃木刑務所の役割を振り返ります。

 片言の日本語が、暖房の効く体育館に飛び交う。

 「ワタシハ、マイニチサムイ。アサツライ」

 「テンノウタンジョウビ、シゴトハ、ヤスミデス」

 心の内を吐露するのは外国人受刑者。2014年12月、栃木刑務所で行われた日本語教育の一コマだ。初級クラスの14人は、日本語をほとんど話せない。

 発表が終わると、七つのグループに分かれた。外国人2人に刑務官が1人。この日は「飛ぶ」「投げる」など動作の言葉を学ぶ。ある外国人は「ドウサ…アクション」とつぶやいた。

 受刑者の4人に1人が外国人となった栃木刑務所。小國万里子(おぐにまりこ)首席矯正処遇官は「意思疎通ができずストレスが大きくなる。刑務所への不満にもつながる」と弊害を指摘する。